福永壮志監督×山田杏奈主演『山女』が第35回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが決定した。
『遠野物語』で紹介された民話にインスピレーションを得た、18世紀後半の東北が舞台のオリジナル脚本。自然の脅威を前にした村社会の閉鎖性と集団性、また信仰の敬虔さと危うさをテーマに、主人公の少女・凛が自分の意志で生きていく姿を描いた作品。主演に今最も勢いのある実力派女優・山田杏奈を迎え、妖しくも美しい唯一無二の映画を作り上げた。
食糧難に苦しむ村で人々から蔑まされながらも逞しく生きる少女・凛を演じたのは、『ジオラマボーイ・パノラマガール』『樹海村』『ひらいて』『彼女が好きなものは』など出演作が相次ぎ、今最もスクリーンに愛される女優・山田杏奈。苦しい生活の中でも、罪人を許す女神が住むと言い伝えられる早池峰山に祈りを捧げ、山で生きることを決意する強く健気な少女を演じている。
神聖な森に住み、村人達から恐れられている謎の存在・山男を演じるのは、『モテキ』『苦役列車』『怒り』『アンダードッグ』など数多くの映画に出演し、舞台・ダンサーと多岐にわたる活躍で人々を魅了する森山未來。自然と共生し、凛との間に信頼関係を築く山男を、圧倒的な存在感で演じている。
村で死体埋葬など汚れ仕事をして生計を立てる凛の父親・伊兵衛役には、『息子』『隠し剣 鬼の爪』『毎日かあさん』『あん』『茜色に焼かれる』に出演するなど長年日本映画界で活躍し、『ミステリー・トレイン』『パターソン』など海外作品にも多数出演する永瀬正敏。先代が火事を起こした責任から土地を奪われ、村八分になりながらも逞しく娘たちと支えあい生きる父を演じている。
監督を務めるのは、初長編映画『リベリアの白い血』でベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品され、ロサンゼルス映画祭で最高賞にあたるU.S. Best Fiction Awardを受賞、インディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞にノミネートされて注目を集めた福永壮志。長編2作目の『アイヌモシㇼ』では2020年のトライベッカ国際映画祭の国際ナラティブ・コンペティション部門で審査員特別賞、グアナファト国際映画祭では最優秀作品賞を受賞し、日本公開後もミニシアターを中心にロングラン上映を果たした。長編3作目となる本作『山女』では、民話を元に新たな物語を紡ぎあげ、凛というひとりの少女の生き様を通して、人間の善悪や信仰の敬虔さと危うさという、いつの時代も変わらない本質的なテーマを描いた。
日本・アメリカの国際共同製作となる本作は、10月24日(月)より開催される第35回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品が決まり、映画祭にていち早く観客の前で上映される。
山田杏奈 コメント
凛でいた期間は私自身も夢と現実のはざまにいたように思い出します。
現代とは違う時代背景、環境の中でも
彼女が何と戦っているのか、彼女はどうしたら幸せになれるのかをずっと考えていました。
東京国際映画祭のコンペ部門に出品されると聞き、とても光栄ですし嬉しいです。
沢山の人に福永監督の描く世界が届くことを願っています。
福永壮志(監督)コメント
『遠野物語』で書き記された数々の民話では、自然に宿る神々や化け物が絶対的な存在として描かれているのとは対照的に、人間は非力で浅はかです。その根底には自然に対する畏敬の念と、後世に向けた教戒が込められています。『山女』は、それらの民話にインスパイアされて新しく紡ぎ上げた物語で、「自然と人間」や「集団と個」といった現代の日本社会においても身近なテーマを扱っています。厳しい環境の中を必死に生きる主人公・凛を通して、この映画を観た人の心に何かを残せることを願います。
ストーリー
この山でわたしは人間になれた―。18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらも逞しく生きる少女・凛。彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こす。家を守るため、村人達から責められる父をかばい、凛は自ら村を去る。決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。狼達から逃げる凛の前に現れたのは、化け物なのか人間なのかもわからぬ不思議な存在であった。
『山女』は2023年に公開!
監督:福永壮志
出演:山田杏奈、森山未來、永瀬正敏
配給:アニモプロデュース
©YAMAONNA FILM COMMITTEE