『耳をすませば』の初日舞台挨拶が10月14日(金)に丸の内ピカデリーで行われ、清野菜名、松坂桃李、山田裕貴、内田理央、安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、平川雄一朗監督が登壇した。

1989年、柊あおいが少女コミック誌『りぼん』(集英社)で発表された青春恋愛漫画『耳をすませば』。読書が大好きな中学生の女の子・月島雫が、夢に向かって生きる男の子・天沢聖司に想いを寄せていく健気な姿が共感を呼び、1995年にスタジオジブリがアニメ映画化した。そんな人気漫画原作を元に、新たな実写映画が誕生した。漫画・アニメ映画で描かれた中学生の物語はもちろん、完全オリジナルストーリーの10年後の物語が加わり二重構造で描かれる本作。大人になった月島雫を清野菜名が、天沢聖司を松坂桃李がW主演で演じ、平川雄一朗がメガホンをとる。

コロナ禍での撮影中断などを経て公開を迎えた本作。「ようやく公開されたんだとホッとしています。ワクワクしていますし、感謝の気持ちでいっぱいです」と清野、松坂も「長い道のりだったなと実感しています」と感慨深げに挨拶した。

山田は「先にクランクアップしたこともあって“大丈夫かな”と、長いこと心配でした。“いつ公開されるのかな”と。ようやくスクリーンで流れるということでうれしく思いますし、『耳をすませば』という作品の力とスタッフさんの力がすごいなと実感しています」と話。同じく先にクランクアップを迎えていた内田も「祈るように公開を心待ちにしていた」と喜びを見せた。

お気に入りのシーンについて、「『翼をください』を演奏したシーン」を挙げた清野は「実写ならではの素敵なシーンになった」と振り返り、松坂は「練習の成果を一番出さなきゃいけないシーンでもあったので変な緊張感があった」と笑いながら振り返った。松坂はアニメーション映画にもあった学校の屋上のシーンについて「よくできたな」と驚きもあったという。

作品の内容にちなんで“甘酸っぱいと思う思い出”を聞かれた清野は「体を動かすことが好きだったので、高校生の頃、毎日夜公園に行って高いところに空き缶を置いて、後ろ回し蹴りを練習したり」と明かすと、驚きを隠せない様子の共演者たち。清野は「映画の『バイオハザード』に憧れて、あの蹴りをやりたいと思って」と明かした。内田は「バレンタインにピンクと黄緑のクッキーを作って、毒々しいきのこみたいな。男の子に引かれた思い出があります」と明かし、笑いを誘った。

山田は、中学生の卒業での“第二ボタンエピソード”として「友達に『とりあえずくれ』って言われて持っていかれて、好きな子のために第二ボタンだけとっていて。女の子の友達から『あの子にあげたいんでしょ』って言われて、好きな子が来て『第二ボタンください』って言ってくれた。言おうとしていたみたいで、守っててよかったな」とまさに“甘酸っぱい思い出”を披露し、会場からは拍手が起きた。また、現役の高校生でもある安原は「(学校の教室でのシーンについて)現実にあったらキュンキュンするなと憧れです」と笑顔を見せ、住友も「ひと気のないところに行って話すのはキュンキュンする」と劇中シーンに重ねた。

イベントの終盤では、原作者・柊あおいからのメッセージが寄せられ、「このままお蔵入りでも仕方ないか」という思いや「封じられた海外ロケを乗り越えて現地に行ったとした思えない映像」と驚きを隠せない様子が明かされ、「観終わった後の清涼感と温かさ」を感じたという。柊からの感謝の気持ちを耳をした清野は「本当に光栄です。私も雫ちゃんという役を通して、本当に彼女は常に前向きに進んでいく力がある女の子で、私もこの役を通して勇気をいただけたので、演じられてとても感謝しています。この舞台にみんなで上がれて再会できたことも幸せに感じています。感謝しかないです」と言葉を噛み締めた。

最後に松坂は「『翼をください』がここまで本作に合うものかと、試写で観た時に感動しました。劇中で歌っているお二人、エンディングを担って下さっている杏さんを含めて、清々しい気持ちになれる作品です」、清野は「2年半の思いがギュッと詰まった作品です。初日を迎えるまでとても不安な日々があったんですけど、みなさんの顔を見ることができてホッとしています。たくさんの人に観ていただけるように発信を続けたいと思います」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『耳をすませば』は公開中!
監督・脚本:平川雄一朗
出演:清野菜名、松坂桃李/山田裕貴、内田理央/安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、音尾琢真、松本まりか、中田圭祐、小林隆、森口瑤子/田中圭、近藤正臣
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松竹
©柊あおい/集英社 ©2022『耳をすませば』製作委員会