『ぼくらのよあけ』の公開記念舞台挨拶が10月22日(土)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、杉咲花(沢渡悠真役)、黒川智之監督、宇宙飛行士の毛利衛が登壇した。
「ぼくらのよあけ」は「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載され、日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった、今井哲也の傑作SFジュブナイル漫画。阿佐ヶ谷団地に住む小学4年生の沢渡悠真(CV:杉咲花)と仲間たちが、ある日、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコ(CV:悠木碧)をハッキングした未知の存在を宇宙に帰すために奮闘する、ひと夏のSF冒険物語。
冒頭では、スペインで開催された第55回シッチェス・カタロニア国際映画祭で本作が上映された際の映像を投影、観客からは「とてもかわいい。すごく気に入りました」「たくさんの場面で泣きました」などのコメントが寄せられた。この映像に杉咲は「嬉しいですね。とても愛情のある映像に胸が熱くなりました。映像の美しさに感動する気持ちだったり、この映画からパワーを受けるという同じ気持ちを共有できて嬉しい」と喜びを見せた。
イベントには、2度宇宙に行った毛利が登壇、「毎回宇宙人に会いたいと思ったんです。今まで誰も宇宙飛行士は会っていないんじゃないかと思うのですが、(杉咲が演じる)悠真くんは会ったんですよね。うらやましいです」と挨拶し、会場を沸かせた。
イベントではSNSから寄せられた質問に登壇者が回答。“宇宙を旅できるとしたら、誰とどんな景色を見たい?”という質問に「母親と、太陽に照らされた地球を見てみたい」と答えた杉咲は「いつも光を受けている側ですけど、光が当たった地球はどんな景色なんだろう」とコメント。一方で、実際に宇宙に行った毛利は「丸い地球が真っ暗い宇宙に浮いてるんです。太陽の光で青々と輝いている。みなさんにお見せしたいと思ったので、日本科学未来館の館長を務めているんですけど、シンボル展示を作りました」と自身の思いを語った。
続けて、“宇宙で食べたいものは?”という質問に「切り餅ってどんなふうに食べるのかなと気になった」という杉咲は「食べ馴染みのあるものはホッとするのかなと」と挙げ、黒川監督は「神秘的な環境でシンプルなものがいいのかな。おにぎりとかお味噌汁はあるんですか?」と問いかけると、毛利は「大丈夫になってきました。宇宙でおにぎりも作れます」と説明した。
また、杉咲からは「これまでの記憶に残っている景色は何ですか?」と質問すると毛利は「一番最初に宇宙に行って、窓から地球を見た時」と答えた。黒川監督は地球が大きく感じたか小さく感じたかを聞くと、毛利は「最初は大きく見えたんですけど地球を一周するのに90分しかかからないので、そういう球の上にすべての生命があると思ったら小さく見えた」と振り返った。
“大変なミッションは?”という質問に、大雨で新幹線が6時間駅に止まったことを明かし、「横に止まっている新幹線を渡ってコンビニに行かなければいけない」という経験があったという。さらに結局向かうことができずに翌日飛行機で向かったということで「私は現場に行けないのではないか」と“ミッション”があったという。
最後に杉咲は「悠真やナナコや宇宙船の関わりを通して、分かり合いたいと思う存在だったり、分かり合えないと思う存在だからこそ歩み寄る大切さを教えてくれる作品。対人関係で大切に築き上げていくためにも大事なヒントだと思っていて。心に響くメッセージだと思います。美しくてスペクタクルにワクワク、そしてささやかな勇気をもらえる作品になっています」と、メッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『ぼくらのよあけ』は全国で公開中!
監督:黒川智之
声の出演:杉咲花、悠木碧、藤原夏海、岡本信彦、水瀬いのり、戸松遥、花澤香菜、細谷佳正、津田健次郎、朴璐美
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会