『線は、僕を描く』の公開記念舞台挨拶が10月24日(月)に福岡のT・ジョイ博多で行われ、横浜流星、小泉徳宏監督、原作者の砥上裕將が登壇した。

青春芸術小説「線は、僕を描く」(砥上裕將著/講談社文庫)を実写映画化した本作。『ちはやふる』を青春映画の金字塔に仕立て上げた小泉徳宏監督を筆頭にした製作チームが再結集。主演は横浜流星。とあるきっかけで水墨画と出会い、学ぶことでその世界に魅了されていく主人公・青山霜介役に臨む。霜介と出会いライバル心を抱くようになる篠田千瑛を清原果耶が演じる。

冒頭では「福岡に来れて本当に嬉しいです。(福岡に来るのは)何年振りでしょう?舞台挨拶や舞台をした際に来たのが最後なので、久々ですね」と喜びを込め挨拶した横浜。小泉監督も「こうして博多に来ることが出来て、すごい嬉しいです」と喜びをあらわにした。さらに原作者で福岡出身の砥上裕將が、横浜と監督の2人への花束をもって登場した。

原作者として、完成した映画の感想を聞かれた砥上は「本当に言葉にならないくらい素晴らしいなと思いました。『観ればわかる』という感じでした」と、原作での名台詞を引用してコメント。原作者からの絶賛コメントに横浜は「生みの親からそう言っていただけるのは嬉しいです」と、小泉監督は「頭からヒリヒリする質問ですね」と安堵の表情を浮かべた。さらに、映画化の話が来た時の気持ちを聞かれた砥上は「監督の目の前で言いづらいのですが、最初は『本当にやるの?』という気持ちでした。いくつもの障壁を容易に想像できたので、これを実写化する人は大したもんだな…と思っていました」と、当時の率直な感想を述べた。

それに対し小泉監督は「最初にお会いした時に水墨画の手ほどきをして頂いたのですが、劇中で横浜さんと清原さんが手を取って二人で筆を持つシーンがあるのですが、あのような事を砥上さんにやって頂き、それがきっかけで生まれたシーンです」と、砥上との思い出から劇中でも印象深いシーンの誕生秘話を明かした。水墨画を習う際によく行う手ほどきとのことで、横浜自身も砥上から直接教わったそうだ。その際の横浜の手の印象について聞かれた砥上は「しっかりした手で、指先まで力がしっかりと伝わっている良い手でした。」と、原作者であり水墨画家でもある砥上ならではの目線で答えた。

そして会場に集まった方からの質問コーナーへ。撮影中大変だったことを聞かれた横浜は「やはり水墨画のシーンですね。霜介の部屋で一心不乱に水墨画を描いているシーンは、集中力を使いすぎて段々意識が遠のいていきそうになりました。それ位ひたすら書いてました。そこを監督の編集の力もあって、とても素敵なシーンになったので、感謝しています」と、すると小泉監督は「映画の最後の畳みかける所だと思うのですが、中々現場でこのようになると伝えるのが難しかったシーンだったのですが、そこを『大丈夫、大丈夫』といいながら撮り続けるのは大変でしたね」と、同じシーンでの俳優・監督それぞれの大変さについて答えた。

続いて、日本の伝統的な文化でもある水墨画を大迫力で体感し感動したという女性からは「他の国の方に観ていただくとしたら、どのような方に見て頂きたいですか?」という質問が。横浜は「水墨画の生まれの中国の方もそうですし、つい最近パリに行ったのですが、パリの映画館でこの作品を上映してくれたら嬉しいです。国を超えてたくさんの方に広まることを願っています」と、小泉監督は「劇中でもフランスの大臣が登場しているのですが、実はフランスは水墨画に興味がある方が多い国なんです。もしフランスで上映されるような機会があれば嬉しいなと思います。そして、中国やアジア全域でも見て頂けたら嬉しいです」と、コメント。砥上は「青春と水墨画というものが小説を書く前は、まったく結びつかないものでした。なので、青春を生きようとする人たち、皆さんに見ていただきたいです」と思いを語った。

そして、劇中で三浦友和演じる湖山先生の台詞にちなみ、生きる活力を聞かれた横浜は「仕事をしてる上で、僕が生きることが出来ている、携わってくれている方々や応援してくれてる皆さんの力のお陰です。僕らの仕事は地味な作業なのですが、皆さんやチームのお陰で救われて、最後までやり切れているので、いつもありがとうございます」と、普段から周りで支えてくれる方々への感謝の気持ちを素直に伝えた。

最後に、横浜は「なかなか映画が公開して舞台挨拶があっても東京でしか出来なくて、その都度地方の方にも顔を見て僕らの声で、作品の魅力をしっかりと届けたいなと思っていたので、それが叶って嬉しく思います。この作品が沢山の人に届いて欲しいと思っております」と、各地の人たちの前で舞台挨拶を行うことが出来た喜びを噛みしめながら挨拶した。

【提供写真・オフィシャルレポート】

『線は、僕を描く』は全国で公開中!
監督:小泉徳宏
出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良/富田靖子、江口洋介/三浦友和
配給:東宝
©砥上裕將/講談社 ©2022映画「線は、僕を描く」製作委員会