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第35回東京国際映画祭 コンペティション部門出品作品『1976』は独裁政権下の静かな恐怖を描いた作品。

10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第35回東京国際映画祭。コンペティション部門は、2022年1月以降に完成した長編映画を対象に、107の国と地域から応募された1,695本の中から、厳正な審査を経た15本の作品が期間中に上映される。

本作『1976』は、ピノチェト独裁政権下にある1976年のチリで、抑圧された生活を送る人たちやその恐怖を描いた作品。主人公のカルメンは、リフォームのために海辺に持つ別荘を訪れる。ある日彼女は、司祭からの頼みで、教会で匿っている青年の世話を頼まれ、足に怪我を負った彼の看病に通うが、彼の抱える秘密が徐々にカルメンを独裁政権の闇に飲み込んでいく。

夜間の外出禁止令や、テレビの国営放送の描写などから、この時代を生きた人の圧迫した生活を感じた。また、男性優位の社会の中で、医師になるという夢を叶えられなかったカルメンが、勇敢にも青年を助けるために立ち上がる様子から、一人の女性の成長を描いたとも受け取れ、勇気を貰える部分もあった。さらに、暗い描写が多い中でも、1970年代の色鮮やかなファッションがひと際目を引き、それもまた見どころの一つだ。

【文/編集部】

第35回東京国際映画祭は2022年10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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