第35回東京国際映画祭 コンペティション部門出品作品『ファビュラスな人たち』はトランスジェンダーの女性たちが、意に反して男装で埋葬された友人の遺志を叶えようとする様子を描く。
10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第35回東京国際映画祭。コンペティション部門は、2022年1月以降に完成した長編映画を対象に、107の国と地域から応募された1,695本の中から、厳正な審査を経た15本の作品が期間中に上映される。
トランスジェンダーの女性たちが、亡き仲間のアントニオの残した手紙に書かれた願いを叶えるべく、ヴィラに集まる。その願いとは、緑の美しいドレスを纏って埋葬されたいというものであった。実際、アントニオの女性でありたいという意思を理解できなかった家族によって、彼女は男性の服装で埋葬されてしまったのだ。集まった仲間たちは、ヴィラで過ごした思い出を懐かしみながら、神秘的な方法で彼女の最後の願いを叶えようとするのであった…。
性的少数者に対する偏見がある中でも、今作で描かれている登場人物たちはみな、つらい経験をしたにも関わらず、それを時間が経った今、笑い話に変えるほどの力強さを持っており、彼女たちからありのままの自分でいることの自由、解放的になることの素晴らしさを感じる。一見重くなりがちなテーマではあるが、登場人物たちの持つ明るさによって、よりライトに、性別の範疇にとらわれず一人の人間としてどうありたいかを自由に決めていいんだと背中を押しているような、社会にメッセージを大声で叫んでいるような作品であった。
【文/編集部(E)】
第35回東京国際映画祭は2022年10月24日(月)~11月2日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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