『耳をすませば』のティーチインイベントがが11月4日(金)に新宿ピカデリーで行われ、松坂桃李、中川翼、平川雄一朗監督が登壇した。

1989年、柊あおいが少女コミック誌『りぼん』(集英社)で発表された青春恋愛漫画『耳をすませば』。読書が大好きな中学生の女の子・月島雫が、夢に向かって生きる男の子・天沢聖司に想いを寄せていく健気な姿が共感を呼び、1995年にスタジオジブリがアニメ映画化した。そんな人気漫画原作を元に、新たな実写映画が誕生した。漫画・アニメ映画で描かれた中学生の物語はもちろん、完全オリジナルストーリーの10年後の物語が加わり二重構造で描かれる本作。大人になった月島雫を清野菜名が、天沢聖司を松坂桃李がW主演で演じ、平川雄一朗がメガホンをとる。

今回のイベントには、天沢聖司を演じた松坂桃李、中学生時代の天沢聖司を演じた中川翼、平川雄一朗監督が登壇し、会場からの質問に答えるティーチインイベントが開催された。最初に作品にちなんで「10年前に抱いていたものと、未来の目標は?」という質問に、松坂は「ちょうど10年前は、平川監督の映画『ツナグ』を撮っていた頃。朝ドラの撮影と掛け持ちの日々で忙しく、常にパニックでした。しかし、『ツナグ』 でご一緒した樹木希林さんから、お芝居の心得を教わりとてもためになった」と、当時の貴重な思い出を振り返り、10年後の目標として「『ツナグ』で教わった心得を大事にしていきたい」と語った。中川は「10年後は松坂さんみたいな……いや、松坂さんになっていたいです」と大胆発言。それを聞いた松坂は「僕になる…いや、変えた方が良い(笑)」と即座にコメントし、事務所の先輩・後輩として信頼関係のうかがえる2人のやりとりに、会場は笑いに包まれた。

イベントが開催された11月4日が“いい推しの日”であることにちなんで「お互いが演じた聖司くんの良いと思うポイントは?」という質問に松坂は、中学生時代を演じた中川の演技について「雫が現れた時にパッと振り向いた時の顔の角度」を挙げ、中川は「(チェロを)弾きながら会話をするシーン」を挙げた。そのシーンがアドリブだったことを監督から聞いたと言い、「リズムと会話の間が合っていて、松坂さんにしか生み出せない空気感だった」と大絶賛を送った。平川監督は、2人のチェロを演奏するシーンを挙げて「(2人が)家に持って帰ってチェロを触っていた」ことから「楽器を取り出す仕草などの体の動かし方がプロのようだった」と2人の努力を明かした。また、完成した本作を初号試写で観終わった時に「やっぱり清野菜名、松坂桃李ってすごいなって思った。監督冥利に尽きる本物の役者だ」と話し松坂、中川については「芝居に誠実だし、頼れる。素晴らしいです。2人には本当に感謝しています」と賛辞を送った。

続けて「劇中の好きなセリフは?」という質問に、松坂は真っ先に「やなヤツ!」を挙げ「やっぱりすごい好きかも。嫌っているだけじゃない感じがすごい伝わるので、あのセリフを聞くとほっこりするんですよね。気持ちとしてはすごく好意があるような空気感にも聞こえるから。言葉とは裏腹な感じがすごい好きです」と回答。 中川は「最近ずっと自分が考えていることと重なったのは、杉村が『あの時の自分があるから今ここにいる』といったことを言っているシーンです。心に響いてずっと考えています」と明かした。 監督は「松坂さんでいえば『夢は形を変えていく』というセリフは印象に残っていますし、翼くんでいうと『俺が最初の読者になってやるよ』ですね」と中川の真似をしながら話し、会場の笑いを誘った。

「学生時代の楽しみ」について問われた中川は「僕はデュエルマスターズというカードゲームをやっているんですが…」と話し始めると、松坂は「振ってきたね(笑)」と自身もファンであることを公言しているカードゲームの話にニヤリ。 中川は「弟とよく戦うんですけど、最近負けすぎた弟が飽きちゃって。最近は僕が1人で2人分を回してるんです」と告白。「めちゃくちゃ面白くないじゃん!」と反応する松坂に中川は思いもよらぬ楽しみ方を見出したといい「どのデッキが一番強いのか、検証するんです。何回もやっていると、一番弱い奴が勝つんですよ!何百回に1回の確率でそれが来るんです。その勝利を実感したときが一番楽しいです。大会とかも出たいなと思っていて」と野望を見せた。 松坂は「バスケ部だったのですが、バスケを始めたきっかけが『スラムダンク』だったんです。自分が好きなキャラクターのプレイの真似している時が楽しくて、それが出来るようになった時は嬉しかったですね」と話した。

最後には、中川は「すごく楽しい時間で、緊張してたんですけど、だんだん緊張も解けてました。この時間をいい思い出として持ち帰っていただけたら幸せです」と話し、 松坂は中川のコメントに「持ち帰ります!」と答えながら「ティーチインという形は、皆さんとコミュニケーションを取りながら、作品を共有しながら時間を過ごせるのがいいなと思っていて実はとても好きで。今日もそれをすごく実感しました。公開まで時間がかかりましたが、皆さんの元に作品を届けられたことが幸せですし、11回も見てくださる方が居ることも知れて、なんて幸せな作品なんだろうと思いました。まだ公開は続いていますので、この作品のことを最後まで見守ってあげてください」とメッセージを送った。

【提供写真・オフィシャルレポート】

『耳をすませば』は公開中!
監督・脚本:平川雄一朗
出演:清野菜名、松坂桃李/山田裕貴、内田理央/安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、音尾琢真、松本まりか、中田圭祐、小林隆、森口瑤子/田中圭、近藤正臣
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松竹
©柊あおい/集英社 ©2022『耳をすませば』製作委員会