両耳が聞こえないプロボクサーと、視力を失いつつあるトレーナーの交流を描いた映画『ケイコ 目を澄ませて』の岸井ゆきののトレーニング映像が解禁された。

本作は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、三宅唱監督が生み出した物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中、<目を澄ませて>闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながらも一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめきを16mmフィルムに焼き付けた。主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開く。そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。ケイコの心の迷いやひたむきさ、そして美しさ。全てを内包した彼女の瞳を見つめているうちに、自然と涙が込み上げてくる――。

本作で岸井が演じたのは、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとして活躍していた小笠原恵子さんをモデルにした主人公・ケイコ。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中リングに立つボクサー役に挑んだ。キックボクシングの経験はあったものの、今回ボクシングにはじめて挑戦するにあたり、まずはアトム級(女子の最軽量の階級)に体重が届かなかったため筋肉をつけながら増量することからスタート。当初はたとえボクシングであっても人を殴るということに対して、なかなか前向きになれなかったという岸井。しかし、日々練習を重ねていくうちに「これは自分自身との戦いなんだと気付き、意識が変わった」と語る。そこからは「とにかく強くなりたい」という一心で、ひたすら猛特訓を重ねた。

クランクインまでの3か月間、みっちりボクシング指導を行ってくれたのは劇中でもトレーナー役として登場する松浦慎一郎。さらに、三宅唱監督も岸井と一緒にトレーニングに挑み、撮影前からチーム一丸となり、文字通り体当たりで“ケイコ”を作り上げ信頼関係を築いていった。タッチマスという本気で戦うのではない試合形式の練習時には、監督が体格差を気にしてガードに徹していると、岸井から「なんでパンチを打ってこないんですか?もっと本気でぶつかってきてください」とまっすぐに指摘を受けたという。

今回解禁された映像は、監督と岸井のタッチマスの様子、また松浦とのスピード感あふれるミット打ちの様子をおさめたトレーニング映像。岸井の真剣なまなざしに、役にかける《本気》さが伝わってくる。さらに、リングサイドで撮影にあたって初めて台本を読んだときの感想を語るコメント映像もあわせて解禁に。はじめてのボクシング、はじめての手話の挑戦に不安もあったようだが、撮影前から監督がともに練習に取り組んでくれたことで言葉を交す以上に同じ思いを共有することができたと言い、二人の間で多くを語らなくとも理解できる関係性が築けたという。最終的には「とにかく信じてください!」という前向きな気持ちになれたと撮影を振り返った。

トレーニング映像

『ケイコ 目を澄ませて』は2022年12月16日(金)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
監督:三宅唱
出演:岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子/三浦友和
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS