山田尚子監督によるオリジナル長編アニメーション映画『きみの色』の制作が発表された。
興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選など高い評価を受け、興収23億円のヒットを記録した『映画 聲の形』(2016)と、京都アニメーションにて両作品の監督を務めた山田尚子は、些細な日常を瑞々しく鮮やかに描く稀有な映像センスと、小さな心の揺れ動きさえ表現していく繊細な演出で、全世界から最も脚光を浴びるアニメーション監督の一人。
今回、待望の最新作となるオリジナル長編アニメーション映画『きみの色』の制作が発表された。2023年秋に劇場公開される。物語のテーマは山田監督が最も得意とする思春期の青春。少女たちそれぞれが向き合う自立、葛藤、恋の模様が、まるで絵画のような美しい映像で描かれる。脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽は『映画 聲の形」『リズと青い鳥』(2018)など山田監督作品のほか、話題作「チェンソーマン」(2022年/テレビ東京系)のサウンドトラックを担当する作曲家・牛尾憲輔。
企画・プロデュースは日本映画史に残る金字塔『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)、『すずめの戸締まり』(2022)など新海誠作品を手掛けたSTORY inc.が担当する。また、『夜は短し歩けよ乙女』(2017)で第41回オタワ国際アニメーションフェスティバル長編部門グランプリ、第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞、最近では山田監督と共に伝統美と最先端の演出を組み合わせたテレビアニメ「平家物語」(2022/フジテレビ系)を生み出し、日本を代表するアニメーションスタジオとなったサイエンスSARUが制作・プロデュースを担う。
スーパーティザーPV
山田尚子(監督)コメント
人の外側と内側、そこから生みだされるそれぞれのかたちを描いてみたいというところから「きみの色」は始まりました。
人はきっと、その時向いている方向に進んでいくわけで、それが前であっても後ろであってもどちらでも成り立っていくと思うのですが、できれば前に進んでいきたい。
音楽を通じてお互いに共鳴していく主人公たちの、やわらかく力強い足取りを描いていきたいと思っています。
吉田さんの書かれる彼らの物語はとてもやさしく、そしてとてもチャーミングです。
悩んだり、何かを変えようとするときに起こる摩擦は、これからを切り開いていくためのとても大切な成長痛であって、その痛みがそれぞれの人が放つ色になっていくのかなと思うのです。
たくさんの色が出会って、混ざり合った先にはどんな色の世界が待っているのでしょう。
絵具を混ぜるパレットのような、または光を集めて分散させるプリズムのような、そんな物語を描いていきたいと思っております。
よろしくおねがいいたします。
吉田玲子(脚本)コメント
『きみの色』は、山田監督の「こういうことやりたいなぁ、こういう子たちを描きたいなぁ」というメモをいただいて、そこから脚本を作り始めました。
《色が見える女の子》というのは山田監督のアイディアで、すごく映像的で面白いなと感じました。
山田監督の作品は、登場人物たちがおずおずと手と伸ばし扉を開いていくような感じがあって、今回もその感覚を大切にしました。そこにある世界と、自分。そこにある現実と、自分。触れると痛いような傷ついてしまうようなものの中で、楽しさや愛しさや生命力を見出していくことを意識しながら書きました。繊細な心模様と、そこに寄り添うような監督の演出を今回もとても楽しみにしています。
『きみの色』はある意味、原点に戻ったようでもあり、今までの集大成的な面もありながら、さらに新しく踏み出していけるような作品になるのではないかと思っています。
光の当たり方によって、濃く見えたり、淡く見えたりはしますが、誰もが自分の『色』を持っていると思います。観てくださった方が、それぞれの『色』を愛おしく思えるような映画になっていると、うれ
しいです。
ストーリー
長崎市内のミッション・スクールに通う高校生の少女・トツ子は、人の感情が「色」として見える。嬉しい色、悲しい色、穏やかな色、怯えている色…。友達や家族の「色」を暗くしないため、気を遣い、空気を読み、その場を取り繕うようなウソをついてしまう。そんなトツ子は、街の片隅にある古書店で出会った、とても美しい色を放つ美少女と、音楽好きの少年とバンドを組むことになる。
『きみの色』は2023年秋に全国東宝系で公開!
監督:山田尚子
©2023「きみの色」製作委員会