『別れる決心』のジャパンプレミアが12月26日(月)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、パク・チャヌク監督、ゲストとして磯村勇斗、古家正亨が登壇した。
今年5月のカンヌ国際映画祭コンペティション部門での監督賞受賞以来、世界の批評家・映画サイトから絶賛を浴び、本年度アカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表に選出された本作。監督を務めるのはパク・チャヌク。主演はドラマ、アクション、時代劇など幅広い分野で活躍しているパク・ヘイルと、ハリウッドにも進出しているタン・ウェイ。物語は、刑事ヘジュン(パク・ヘイル)が、崖から転落死した男の妻ソレ(タン・ウェイ)の調査を開始することから始まる。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める―。
『お嬢さん』以来の映画作品となる本作を引っ提げて来日したパク・チャヌク監督。本作は第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、来年授賞式が開催されるゴールデングローブ賞でも非英語映画賞にノミネートされるなど話題となっているが、本作について「古典的なスタイルの映画を作ろうと思った。刺激的な作品に慣れている若者たちは退屈に思ったらどうしようと思った」と明かしつつ、実際は本作が高い評価を得たことに「興味深いと感じた」と振り返った。
ゲストとして登壇した磯村は「今までに感じたことがない緊張感と嬉しさで胸がいっぱい」と緊張した面持ちで「俳優を志して間もない時に『オールド・ボーイ』に出会って、こういう映画に出れる俳優になりたいと思ったくらい衝撃を受けた」と明かした。
本作が出品された第75回カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞した『PLAN 75』に出演している磯村だが、パク・チャヌク監督は「あの賞を獲られた監督、俳優はいずれは大賞を獲る。この場で磯村さんに会えてよかった。のちのち大俳優になってなかなかご挨拶できなくなってしまうと思う」と称賛すると、磯村は「がんばるしかないですね」と笑顔で応えた。
磯村は、本作について「中毒性のある映画。登場人物の心情にフォーカスが当たっていて、寄り添える作品。2人の掛け合いが胸がうずうずする、大人の危険なラブストーリーで、何度も観たくなる映画」と語った。磯村からは、韓国のエンターテインメントが世界でも高い評価を得ていることについて「現場で大切にしていることがあれば聞きたい」と問いかけると、「日本にも素晴らしい映画やドラマがあります。韓国もそれを観て学んでいるところがあります。お互いにいい影響を与えながら発展していくのが大切」と話すパク・チャヌク監督は「大切にしていることは対話、話をすること。誰よりも俳優やスタッフと話をします」と言い、「話をすることで、自分の考えも整理できる。いいものを選択することで自分の考えが発展していく」と答え、これに磯村は「一番大切なことですね。改めて大切にしたいと思いました」と共感している様子だった。
パク・チャヌク監督作品に出たいかを聞かれると、「もちろん出たいです。韓国語を頑張って勉強したいと思います」という磯村。パク・チャヌク監督は「磯村さんが必ずしも韓国語をマスターする必要はなくて、私が日本語を勉強して、日本の映画でご一緒することもあります。お互いに力を合わせて、相手の文化を学び合ってコラボレーションできる、そんな作品が増えていけば」と言い、「たくさんの日本の方と協力できれば」と語った。
最後にパク・チャヌク監督は「この映画ににはユーモラスな瞬間があちらこちらに入っています。ユーモアは言語の壁を超えるのに難しい部分でもあります。それを外国の方が笑ってくださったのはユーモアが通じたということで幸せだなと感じました。これから映画をご覧になっていただいて、躊躇することなくおかしいと思ったら笑ってみてください」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『別れる決心』は2023年2月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開!
監督:パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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