〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を鮮烈なモノクロ映像で描く『せかいのおきく』の海外版ティザー予告映像が解禁された。
阪本順治が自身のオリジナル脚本を映画化した本作。舞台は日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく(黒木華)は、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、人と人のぬくもりを描。
今回、本作の映像初となる海外版ティザー予告映像が解禁された。雨宿りをする下肥買いの矢亮(池松壮亮)と紙屑拾いの中次(寛一郎)のもとに、一輪の花のような美しさをたたえた武士の娘おきく(黒木華)が駆け寄る。本来であれば深く関わることもない身分違いの3人の運命的な出会いの一場面が、墨絵のように美しく、鮮烈なモノクロ映像で捉えられている。そして、本作に彩りを添える阪本組常連のベテラン俳優、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司らの生き生きとした姿も見ることが出来る。
江戸の〈循環型社会〉を企画背景としている本作で描かれる下肥買いとしての矢亮と中次の仕事ぶりや、二人があぜ道を駆け抜ける躍動感あふれるシーンも印象的だ。さらに、注目すべきは、おきくが声を失うきっかけとなった衝撃のシーンと、感謝するかのように天に向かって柏手を打つおきくの穏やかな微笑みを浮かべた表情。声を失うことで映画中盤からはセリフが無いながらも、観る者の心に迫る黒木の繊細かつ感情豊かな演技を予感させる映像となっている。
1月25日[現地時間]よりオランダ・ロッテルダムで開催される第52回ロッテルダム国際映画祭のビッグスクリーンコンペティション部門への出品が決定し、映画祭プログラマーのクリスティーナ・アシェンブレネロヴァより「『せかいのおきく』には、今までの時代劇にはない全てがある。」と絶賛された本作。人情の機微を見つめ続けてきた阪本順治監督が、貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、<人と人のぬくもり>と<いのちの巡り>を描きだす、至高の日本映画と呼び声高い本編への期待が高まる。
海外版ティザー予告映像
『せかいのおきく』は2023年4月28日(金)より全国で公開!
脚本・監督:阪本順治
出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
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