『スクロール』の公開記念舞台挨拶が2月4日(土)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音、清水康彦監督が登壇した。
原作は、YOASOBIの大ヒット曲「ハルジオン」の原作者としても知られる橋爪駿輝が2017年に発表したデビュー小説「スクロール」。物語は、鈍色の青春を駆ける若者たちのリアリティ溢れる青春群像劇。“生きること”そして“愛すること”をエモーショナルに表現し、光が射す明日を強く感じさせてくれるストーリーを独創的な世界観で描くのは、様々な映像のジャンルをクロスオーバーして活躍する清水康彦監督。さらに研ぎ澄まされたセンスで唯一無二の映像美で魅せる川上智之が撮影監督を担当。W主演を務めるのは北村匠海と中川大志。
〈僕〉を演じた北村は「〈僕〉は考えてることや感じていること、理不尽の中で生きる自分と近いものがあるなと思いました」と振り返り、「観てくれるみなさんに近い存在だと思っていた。〈僕〉と〈私〉は主観的より客観的な世界を生きているのかな」と役柄について語った。一方で「一人一人が主人公の物語だと思います。だからこそ自分に置き換えやすいのかな」と本作の魅力を語った。W主演でユウスケを演じた中川は「先輩に『なんでこの仕事やってるの?』と聞かれるシーンがあって。僕の仕事に関わらず、ひとつの目標に向かっていくことがすべてになっちゃって、ふと立ち止まった時の“なんでそこに向かってたんだっけ”と、走り出した瞬間のことを忘れちゃうことがある」と言い、「先輩からの言葉はグサッときた。ユウスケも立ち止まるきっかけになった」と共感している様子だった。
松岡が「自分のキャラクターを周りから決められて演じなきゃいけないということはあるのかな。元気寄りな人が陥るキャラクターを羽交い絞めにされるのは分かる」と共感していることを話すと、中川も「自分でしんどくなることあるよね。取材で言っちゃったけど、本当はそうでもないんだけど。でも私生活でそれ守って生きていかなきゃ」と明かすと、北村も「役者は明るい役の時もあれば暗い役の時もあって、その都度で人からの見え方が変わる」と語った。一方で〈僕〉に共感したという古川は「意地になってる感じとか、いまだにちょこちょこぶり返すと気が合って、その時の自分を観ている感じ」と語った。
明日への一歩を踏み出す姿が描かれる本作にちなみ「今年踏み出したい、始めたいこと」を聞かれると「ゴルフの事しか考えてない」と言う北村に中川は「棒を探し出す」と言い、北村は「傘とかいいんだよね」と返し、笑いを誘った。それに松岡は「大人の俳優さんが集まるとゴルフの話か健康診断の話か」と言うと、北村は「人間ドッグ行きたいです」とコメントし、笑いを誘った。
「ベースを買おうか迷っている」という古川は「ただ弾きこなせるかが大事なので買って飽きたらかわいそうだなと迷ってます」と話すと、「メンバーで集まって曲を作るときは僕がベース担当。手に取ってみればいいと思う、楽器は」と話す北村は「琴音ちゃん、パンクな精神強いから。バンド組むときはバンド名考えさせて」と勧めた。
最後に中川は「この映画の彼らは自分の中でもがいている瞬間が切り取られているので。生きる場所はどこなのか、どうやって生きていけばいいのかと。この映画を観て、自分だけじゃないんだなとちょっとでも感じてもらえたら嬉しい」、北村は「僕たちの毎日は誰かにスクロールされている。勝手に時間が進んでいく中でどう人生を生きるのか。きっと誰しもがもがいて生きている。形どれない感情だったり、憤りもこの映画には詰まっています。その先に見えるちょっとした小さな兆しも散りばめられている映画です。僕はこの映画を観て、ホッとして、一人じゃないという感覚も演じていて思いましたし、4人の人物が1人の人間のいろんな角度に見えて、だからこそ共感してもらえる映画になったと思います」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『スクロール』は全国で公開中!
監督・脚本・編集:清水康彦
出演:北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音、水橋研二、莉子、三河悠冴/MEGUMI、金子ノブアキ/忍成修吾/相田翔子
配給:ショウゲート
©橋爪駿輝/講談社 ©映画「スクロール」製作委員会