WOWOWが贈る本格クライムサスペンス『連続ドラマW ギバーテイカー』の撮影現場レポートが到着し、併せて特別映像が解禁された。
本作は中谷美紀演じる娘を殺された刑事・倉澤樹と、その娘を殺した猟奇殺人犯・貴志ルオトの死闘を描いた本格クライムサスペンス。原作の『ライフ2 ギバーテイカー』(講談社アフタヌーンKC)は、累計発行部数1000万部突破の『ライフ』で社会現象を巻き起こしたすえのぶけいこ初の青年誌連載作品。迫力あるタッチでエネルギッシュに描かれたその強烈なストーリーと、独特な心理描写が『ライフ』に続く“第2の衝撃作”と謳われた。そんな話題作をWOWOWが連続ドラマ化。監督は、「連続ドラマW 沈まぬ太陽」(2016)、「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」(2022)、「連続ドラマW シャイロックの子供たち」(2022)の鈴木浩介、脚本は「連続ドラマW 黒鳥の湖」(2021)、「ドクターホワイト」(CX・2022)などを手掛けた小峯裕之が務める。
ルオトが住み込みで働くベーカリー「幸せの穂」の自室で、1人の時間を過ごすシーン。美しい容姿からは計り知れぬ狂気を一気に解放させるルオトの様を見事に表現した菊池風磨。声のトーン、口角の上げ方、歩みや瞬きの速度など、些細な表現にも気を配り、ひとつひとつの動きから狂気を感じさせ、静かさの中で、観る者に緊張を与えていく。中でも壁に張り巡らされた倉澤の写真を、愛おしそうに眺めながら、鼻歌を静かに響かせる場面で魅せた名演には、メガホンを取る鈴木も「いい表情をするね」と嬉しそうに称賛の言葉を口にする。瞳に冷たい光を宿らせ「樹先生、もうすぐだね。もうすぐ会える」と倉澤との再会を心待ちにする菊池の姿は、ルオトそのもの。菊池がルオトの得体の知れなさを見事に表現し、狂気を次第に爆発させていく姿が捉えられた自室でのシーンは、彼の高い演技力が発揮された見どころのシーンのひとつとして完成した。
菊池は撮影中、「監督の撮影のスピードがとにかく速くて、日々試されているなと感じています(笑)いい意味でスリリングな挑戦が続いている感覚があって、鍛えられている」と緊張感もありながら、「監督が始めの段階から『ハマっているね』と言ってくださったので、安心できましたし、嬉しかったです」と鈴木の言葉に励まされ、役者として充実な日々を過ごしたことを明かしていた。
主人公の倉澤と並んで、重要となったのは猟奇殺人犯・貴志ルオトのキャスティングだ。映画『ダークナイト』のヒース・レジャー、ドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」のマッツ・ミケルセンなど、名優たちが息を吹き込んだヴィランキャラクターたちの活躍はサスペンス作品を成功へと導いてきた。本作において、そんな重要なポジションを担うルオトは “天使のような美少年”といわれた少年期の面影を残した、独特な雰囲気を身にまとう人物。医療少年院を退院し更生したとされているが、美しい容姿からは計り知れぬ“狂気”を宿し、異常な価値観、あることをきっかけに抱いた倉澤への執着心、精神的な幼さは、親しい友人でもあった倉澤の娘を惨殺した12年前から変わらずだ。
ルオトは超えてはならない一線を、当たり前のように越え、“幸せは奪うもの”という彼なりの正義の貫通行動として人を殺める。倉澤が追えば追うほど、ルオトは狂気を加速させ、倉澤は追い詰めているはずが、身も心も追い詰められ、怒りは増幅していくばかりだ。ルオトが「殺人に快楽を感じる=幸せを得られる」との思想を強く抱くようになった過程や、倉澤へ異常な執着を持つ理由、そして彼の“家族”にまつわるバックボーンなど、物語が進むにつれて次第に明らかとなり、サスペンスエンターテインメントとして盛り上がりを見せていくのだが、それらすべては【悪役は悪役】として最後まで描き切るよう構築されている。その倫理の問いかけをしたくとも、悲しいほどにその行為が意味をなさないヴィランキャラクターとしてのルオトの描き方は、理解し得ない行動に出た人間に抱く恐怖心や、考えたところで答えなど出るはずもないのに「なぜ」と思わず考え巡らせてしまう未曾有の事態が発生した際に世の人が抱くリアルな感情を観る者に与え、他サスペンス作品とは一線を画す本作ならではの魅力を生み出している。
ルオト役を演じる俳優には、人を惹きつけるカリスマ性と、巧みな演技力が求められ、加えて原作が漫画だけに原作ファンのイメージも絵として根強いため、キャスティングは困難を極めることとなった。そんな中、それらすべてを兼ねそろえた唯一無二の人物として、白羽の矢が立ったのが菊池だ。倉澤に抱く異様なまでの執着心、容赦なく人を襲う残虐性、菊池の“見たことのない姿”に制作陣は多大な期待を抱き、圧倒的な存在感と儚さを併せ持つドラマ版ルオトの誕生を渇望し、菊池へ熱烈なラブコールを贈った。そして、菊池はその想像をはるかに超える名演を披露し、見事に期待に応えて見せた。
このキャスティングについて、鈴木は「原作の世界観を大事にしつつ、ドラマ版に存在するルオトとして成立させるかに関しては、菊池さんのキャスティングがすべてでした」と明かし、菊池との初対面を「独特な存在感を纏われた方だなと感じたんです。“あ、ルオトだ。間違いなく彼がルオトになってくれる”と確信しました」と振り返る。そして、「菊池さんから醸し出される存在感に浸りたく、少し離れて見ていたくなりました。なので、敢えて言葉で交わすのではなく、カットの積み重ねで彼にメッセージを送り続けることにしました」と新境地へ挑んだ菊池への演出について明かし、「カメラを通して彼を見ていると、少しずつルオトと同化していく様を感じました。見事、ルオトに憑依してくれて大感謝です」と太鼓判を押す。
また脚本を手掛けた小峯は「物語終盤は魅力的なキャスト陣に触発されて生まれたシーンも多く、キャストが作品の世界観を広げてくれたと思っています」と、中谷、菊池をはじめキャスティングによって、ドラマの名場面が誕生したことを明かしている。中谷は菊池の名演に「脚本を徹底的に読み込んで、ルオトという猟奇殺人犯の役柄を深く理解し、アンニュイな雰囲気のシーンと、たたみかけるように相手を追い詰めるようなシーンと、場面によって緩急のあるお芝居に、心を酷くえぐられました」との称賛の言葉を贈り、クライマックスシーンの撮影前には「いかにルオトを活かすことが出来るかということが大切になるので、菊池さんが思う存分、究極の悪を演じられる撮影となるよう、私も一緒に彼の気持ちを受け止めて演じたいと思います」と気合いを入れていた。
「ルオトは一手先、二手先に“何かがある”と予感させる不気味さ、奇妙さがあり、不安を煽る恐ろしいキャラクターなので、難しい部分は多いです。特に残酷なセリフやシーンに直面する時は、普通の感覚では出来ないことが多く、ルオトとしては快感を得る行為であっても、“人が苦しんでいるのを楽しむ”という自分自身の引き出しにない感情をどのように表現すればいいのだろうかと悩みました。オーバー過ぎたら嘘らしく見えてしまうし、かといってライトな雰囲気で演じるのも違いますし、とにかくルオトのように“当たり前に残酷なことをする”というのは本当に難しい」と思考を深め続けた役作りについて撮影中に明かしていた菊池。キラキラとしたステージに立つアイドルとしての顔はもちろん、これまで彼が演じてきた明るいオーラを発する役柄とは全く異なり、本作は菊池が新境地を開いたドラマとしても見逃せない1作となった。
特別映像
『連続ドラマW ギバーテイカー』は2023年1月22日(日)よりWOWOWで放送・配信!
監督:鈴木浩介
出演:中谷美紀、菊池風磨、深川麻衣、馬場ふみか、吉沢悠、斉藤由貴、池内博之