稲垣吾郎主演『サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー』が再始動、4月14日(金)より東京・大阪・松本で上演されることが決定した。
18世紀のフランス・パリに生きた実在の死刑執行人シャルル=アンリ・サンソン。時には忌まわしい存在として人々に疎まれながらも、国家と法を重んじ、職務を遂行し続けた彼は、敬虔なカトリック教徒で医者でもあり、その内心には常に、死刑廃止論者としての死刑制度に対する葛藤があった。当時の死刑は、貴族なら斬首、庶民なら絞首と決められており、罪状によっては陰惨な拷問を伴うものもあった。せめて誰にでも平等に苦痛を感じさせない死をもたらそうと、サンソンはギロチン(断頭台)の発明にも積極的に協力する。
しかし、絶対王政の崩壊、急進派と穏健派の分裂、ロベスピエールによる恐怖政治と揺れ動くフランス革命期にあって、完成し、実用化されたギロチンは、処刑の名の下に多くの人間の死を量産する道具ともなった。サンソンはおよそ3000回もの執行を手がけたと言われており、その中には彼が敬愛した国王ルイ16世も含まれていた。舞台『サンソン』は、そんな彼の眼差しを通して、王族、貴族、革命家、一般庶民にいたるまで、フランス革命にかかわった多くの人間たちの理想や挫折、生きざまを、鮮やかに浮かび上がらせる。数限りない死に立ち合い続けた男の眼に映った、革命の深層、人間の尊厳とは―。
2021年4月に初演の幕を開けるも、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、わずか数公演で東京公演の中断、大阪公演の中止を余儀なくされた話題作が、いよいよ再始動の時を迎える。死刑執行人という宿命を背負ったシャルル=アンリ・サンソンの葛藤を一身に背負うのは稲垣吾郎。大きな時代の変化を見つめる知性と冷静沈着さを保ちつつ、その内面に息づく人間性、信念、情熱をも感じさせる多面的なサンソン像は、初演時にも深い印象を残した。
「アンシャン・レジーム」(旧体制)の打倒を目指す革命のドラマにふさわしく、キャストにはフレッシュな若
手俳優が集う。フランス革命のいちばんの当事者であり、サンソンの敬愛の対象でもあるルイ16世役には、蜷川幸雄演出『盲導犬』で舞台デビューを飾り、近年も個性豊かな演出家から愛され続ける大鶴佐助が新たに挑む。新キャストには、2.5次元舞台から映画、テレビドラマへと活躍の幅を広げ独自の存在感を放つ崎山つばさ、劇団EXILEのメンバーで映画、ドラマと多くの話題作への起用が続く佐藤寛太、2.5次元舞台から翻訳劇までさまざまな舞台でキャリアを重ね進化を続けるD-BOYSの池岡亮介が加わり、革命期の青年たちを演じる。
初演メンバーからは、数多くの映画、ドラマでキャリアを築き、話題作への出演を続ける落合モトキ、舞台はもちろん映画やドラマでも着実に存在感を示す清水葉月が出演。さらに、ギロチンの発案者で医師ギヨタン役には田山涼成、シャルルの父親とロベスピエールの二役には榎木孝明が続投、若者たちの群像劇に奥行きをもたらす。
キャスト
シャルル=アンリ・サンソン:稲垣吾郎
ルイ16世:大鶴佐助
トビアス・シュミット:崎山つばさ
ジャン=ルイ・ルシャール:佐藤寛太
ナポリオーネ・ブオナパルテ:落合モトキ
ルイ=アントワーヌ・サン=ジュスト:池岡亮介
エレーヌ:清水葉月
デュ・バリー夫人:智順
マチュラン・ルシャール:春海四方
アントワーヌ・ルイ博士
グロ:有川マコト
ラリー=トランダル将軍:松澤一之
ジョゼフ・ギヨタン:田山涼成
シャルル=ジャン=バチスト・サンソン:榎木孝明
マクシミリアン・ロベスピエール
今泉舞、岡崎さつき、小田龍哉、加瀬友音、木村穂香、久保田南美、熊野晋也、斉藤悠、髙橋桂、チョウヨンホ、中上サツキ、中山義紘、奈良坂潤紀、成田けん、野坂弘、畑中実、古木将也、村岡哲至、村田天翔、ワタナベケイスケ、渡邊りょう
稲垣吾郎 コメント
『サンソン』再始動の話を聞いたときは素直に嬉しく思いました。白井さん、中島さん、三宅さんという素晴らしいクリエイターの方たち、そしてフレッシュなメンバーも加わるキャストの皆さんと、改めてこの作品に向かい合えることに感謝しています。
“死刑執行人”という非情な宿命を背負ったサンソンに再び向き合い、彼のような人物がいたという事実を、舞台を通して皆様に伝え、未来に繋げていければと思っています。
色々なお仕事をさせていただく中で、舞台は自分が自由に羽ばたけるような貴重な場所です。初演時は中止になってしまった公演も多く、ご来場が叶わなかったお客様もいらっしゃると思います。今回は多くのお客様と時間を共有できることを楽しみにしています。
白井晃(演出)コメント
2021年4月の突然の中断から2年。再び『サンソン』が動き出す。私は、今回の公演を再演とは捉えていない。あの日の憤りからこの作品はずっと続いている。だから、再演ではなく再始動である。2年間という時間の中で私たちは多くのことを学んだ。不安の蔓延、虚偽と真実の不確かさ、価値の変化。だからこそ、今、フランス革命の中心にいて、時代の波に翻弄されながらも、使命を全うすることで自己の存在を見出そうとした「サンソン」の姿が崇高に思えてくるのだ。
中島かずき(脚本)コメント
『サンソン』が再始動する。2021年に唐突に中断され、その公演の大半を中止せざるを得なくなり、それでもなんとか神奈川公演で大千穐楽にだけはたどり着けた。だが、そこにいた誰もが不完全燃焼な思いを胸に「もう一度」と熱く願っていた作品だ。2年の時を経て、新しいメンバーを加えて、ようやく胸の燻りに火をつけることができる。暗く辛い時代の重い使命を抱えた男の物語だが、しかし、その炎があれば、闇の先の光にまでたどりつけると信じている。
三宅純(音楽)コメント
世襲の『死刑執行人』という宿命、動乱の時代がもたらす過酷な試練、シャルル=アンリ・サンソンをめぐる数奇な史実を知って、僕は震撼した。彼が責務を執行した現場の多くは、パリの住まいから徒歩圏にあり、街が今までとは違って見えてきた。サンソンの生きた時代、カオスとデカダンス、彼の美学とリリシズムを、白井晃さんの音楽構成案に繰り返し登場する「重低音」というキーワードと、どのように交差させるべきか、試行錯誤したのが今回のスコアだ。この作品の初演はコロナ禍に翻弄され、余儀なく中断されたが、僕にはそれすらも物語の背景にある動乱の時代の事象に見えてきてしまっていた。今回の再演に際しては、中断された悔しさのエネルギーが昇華され、さらに凄みのある舞台になることを期待している。
大鶴佐助 コメント
フランスには友人も多く、実際にフランス人を演じたこともあり、縁深いものを感じています。フランス革命という歴史の象徴でもある題材、そして首を切られてしまうルイ16世の心情などまだまだ未知の部分も多く、改めて勉強してお稽古に入りたいと思っています。
崎山つばさ コメント
お話をいただいたときは喜び、不安、緊張、楽しみなどが入り混じり、背筋が伸びる思いでした。18世紀という特別な世界観に入り込めることにワクワクしています。多くのことを吸収して1日も早く馴染めるように稽古に励んでいきたいと思っています。
佐藤寛太 コメント
『銀河鉄道の夜』でご一緒させていただいた白井さんの演出ということで、演目を聞く前に「やりたいです!」と伝えました。初日から千穐楽に向けて変化することを楽しみながら、たくさん怒られて成長していきたいと思います。
池岡亮介 コメント
今回のような時代の作品に出演するのは初めてですが、物語の裏側を探ることが好きなので“死刑執行人”という題材に隠されている見えない部分を追求できればと思っています。
役者の心情までしっかり見てくださる白井さんの期待に応えられるよう、嘘のない演技をお見せしたいです。
『サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー』
【東京公演】2023年4月14日(金)~4月30日(日)東京建物 Brillia HALL
【大阪公演】2023年5月12日(金)~5月14日(日)オリックス劇場
【松本公演】2023年5月20日(土)~5月21日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
チケット料金(全席指定・税込):S席13,500円 A席10,000円/(松本公演のみ)B席 7,500円
チケット一般発売日:
【東京】3月26日(日)10:00(予定)
【大阪・松本】4月9日(日)10:00(予定)
※まつもと市民芸術館チケットセンターの発売は4月15日(土)10:00を予定。
公式サイト: こちら