『Winny』の先行上映会舞台挨拶が2月14日(火)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、東出昌大、三浦貴大、渡辺いっけい、吹越満、松本優作監督が登壇した。
2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法アップロードした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――。
冒頭では「僕が演じた金子勇さんという人物が本当に素晴らしい方だったので、『Winny』という作品を早く観ていただきたいと思いました」と挨拶する東出。一方で本作の元になった事件を知らなかったと話す東出は、出演するにあたって調べていくうちに「こんな天才がいたのかと。再発掘し、金子勇さんを知ってもらいたいという一心でお芝居をしていました」と振り返り、「(生前の金子さんを知っている人の)話の一つ一つが役作りにつながった」と明かした。また、撮影現場には金子さんの実姉も訪れたそうで「お会いしたときに『勇ちゃんがいる』と言ってくださったのは、お芝居とか映画に映るものとは全然別の次元で役者冥利に尽きる言葉だと思って」と語った。
同じく実在の弁護士を演じた三浦は「リアルな法廷シーンになれば」と心掛けたを明かし、「壇さんが金子さんをどのように思ってみていたのかということをお話をいただいて。金子さんの話をしている時の表情だったり喋り方から、金子さんへの思いが感じられた」と意識していたという。また、撮影前には模擬裁判を行い、「実際の裁判記録に沿ってやってくださったのでまるまるコピーしてやろう」と振り返った。
劇中では東出演じる金子を逮捕する立場の渡辺だが「家宅捜索に行くところの、金子さんの無防備さが演じながら心の中でいたたまれなくなりました」と明かし、「緻密に作られているから一瞬も飽きることがない。台本を読んだ時に、こんなにシリアスで地味なものがどうなるんだろうと思ったらエンタメ作品になっているので、監督の力量に舌を巻いています」と称賛した。
イベントの終盤では、東出が演じた金子勇さんの実姉から登壇者への手紙がサプライズで披露された。手紙では「映画の中の東出さんは弟が生き返ったようで思わず涙が出ました」、「映画の中の三浦さんはすっかり雰囲気が壇先生でした」などキャストへの思いが込めれ、東出は目に涙を浮かべていた。
最後に三浦は「実在の事件ですし、実際にいる方々、いた方々を描いています。テーマもちょっと難しいんですけど、映画ですから考えるのは観た後がいいです。観る前は何も考えずに楽しんでいただければ」、東出は「この裁判で弁護をなさった先生方が、“この裁判に勝者はなかった”とおっしゃっていました。7年の歳月がかかったんですけど勝者はなかった。それでもみなさん7年を不毛だとは思っていないし、未来のためにと思って闘っていらしたんだなと」「7年の月日を、熱量と信念を僕らは受け取って映画に焼き付けたいと思って、焼き付いたと思っています」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『Winny』は2023年3月10日(金)よりTOHOシネマズほか全国で公開!
監督・脚本:松本優作
出演:東出昌大、三浦貴大
皆川猿時、和田正人、木竜麻生、池田大
金子大地、阿部進之介、渋川清彦、田村泰二郎
渡辺いっけい/吉田羊、吹越満
吉岡秀隆
配給:KDDI/ナカチカ
©2023 映画「Winny」製作委員会