石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい


ミュージカル『ラグタイム』が9月に東京・日生劇場で上演されることが決定した。

物語は20世紀初頭のニューヨーク。アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代。ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする―。この物語の中心を担う3人を務めるのは石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい。

娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人・ターテ役に石丸幹二、新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニストのコールハウス・ウォーカー・Jr.役に井上芳雄、正義感にあふれ人種の偏見を持たない、上流階級に属する白人女性マザー役に安蘭けい。そして、本作の日本初演の演出に挑むのは、今、次回作が最も待望される演出家・藤田俊太郎。

1902年。ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、ラトビアからニューヨークにやってきた。黒人のコールハウス(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。恋人は彼に愛想をつかし、2人の赤ん坊を、ある家の前に置き去りにしてしまう。赤ん坊が置き去りにされたのは、上流階級に属する白人のマザー(安蘭けい)の家だった。偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは、夫が出張中で不在ではあったが、赤ん坊を拾い上げ家に迎え入れる。

そんなある日、街でターテとマザーは偶然出会う。マザーのターテへの敬意にあふれた対応に、ターテはマザーに対して好感を抱くのだった。恋人を取り戻すために彼女の元に通い詰めるコールハウスは、今や“ラグタイム”を奏でるピアニストとして注目され始めていた。フォード車を買うことができるくらいまで稼げるようになったが、黒人であるがために、車を焼き討ちされてしまう。人種差別に対する窮状を訴えるコールハウスではあったが、誰も彼の話に耳を貸さないのだった…。

「ブロードウェイの初演を観た時の、深い衝撃は忘れられないですね。うねるような物語の壮大さ、そして、多彩なメロディーが飛び交う音楽の豊かさ」と振り返る石丸は「音楽的に難しい曲が多いからこそ、『挑みがいがある、歌ってみたい!』と願いました」と明かす。また、「異なるバックグラウンドの者たちがひと所に共存する難しさ、大切さを描いていきます」と本作について語る石丸は「まずは、冒頭の大合唱を聴いてください。さまざまな民族を演じる出演者全員が心を合わせて歌います」と見どころを明かしている。

「ブロードウェイミュージカルのあの傑作を、遂に日本でもやるのか!という、興奮と喜びがありました」と本作の話を聞いたときにことを振り返る井上は「人種や歴史など、アメリカという国を体現している作品だと思います。音楽も、アメリカのいろんな面が感じられて魅力的です」と語っている。また、石丸との共演については「やっと共演できる!という喜びでいっぱいです」、安蘭とは「ミュージカルでの共演は初めてなので、ワクワクしています。お二人ともストレートプレイもミュージカルも両立されている憧れの先輩なので、一緒にお芝居させてもらう中で得られるものがたくさんあると思います」と意気込みを語った。

安蘭は、本作について「人種差別や階級差別を描いたストーリーと、ラグタイムという軽やかな曲調との違い、ギャップがとても興味深いと思いました。その当時の、激動の時代を生きた人達のエネルギーを感じるような気がします」と語り、3度目の共演となる石丸については「また一緒に作品を創れる事がとても嬉しく光栄です」、井上との共演については「前回はミュージカルではなかったので今回初共演のような感覚で、とても楽しみです。お二方の名前を聞いた時、とても豪華だし、これは凄い作品になるな!と思いました!私もその一員になれることが本当に嬉しいです!」と思いを語っている。

ミュージカル『ラグタイム』は2023年9月に日生劇場で上演
出演:石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい ほか