山田洋次監督最新作『こんにちは、母さん』の完成報告会見が3月15日(水)に都内で行われ、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、YOU、枝元萌、山田洋次監督が登壇した。
『男はつらいよ』シリーズをはじめ、その長きにわたる歴史の中で松竹が描き続けてきたのは、人の温かさを描いた人情の物語であり、“家族”の物語。そして2023年、変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない家族の愛を描く本作。吉永小百合、大泉洋、永野芽郁が出演。
今回行われた完成報告会見には、すでに発表済みの神崎福江役・吉永小百合、神崎昭夫役・大泉洋、神崎舞役・永野芽郁、そして山田洋次監督に加え、会見で新たに発表されたキャストとして、萩生直文役・寺尾聰、木部富幸役・宮藤官九郎、琴子・アンデション役・YOU、番場百恵役・枝元萌が登壇した。
本作では親子役を演じる吉永と大泉だが、出演が発表された際には「吉永小百合さんから、大泉洋は生まれない」とコメントしていた大泉だが、実際に撮影を行った際には「何か分からないけど間違って生まれたんだなという気がして、母親にしか思えない小百合さんがいらっしゃいました」と笑いを誘いつつ、吉永の現場での佇まいについて語った。そのキャスト陣を前に「これ以上言うことがないキャスティング」と話す山田監督は「いい脚本といいキャスティングといいスタッフがいれば、映画は7~8割はうまくいく。安心してこの映画の現場に臨みました」と語った。
「大泉さんにサポートしていただいて、励ましていただいて撮り終えることができたんです。やらせていただいてよかった」と振り返った吉永。大泉は「毎日毎日がとにかく楽しくて、こんなに楽しい現場でいいのかなと思うくらい」と振り返り、「だいたい9時に始まって5時に終わるんです。素晴らしくて。小百合さんと過ごした時間は素敵だった」と撮影の日々を振り返った。初めての参加となる山田監督について、大泉は「お話がすべて自分の宝物のようで。全部録音しておきたかったなというくらい愛おしい時間でした」と振り返った。
『キネマの神様』に続いての山田監督作品への出演となる永野は「前回よりも監督に褒めていただくように頑張ろうと入った。現場の雰囲気が穏やかで、やっぱり山田組すごいなと。監督も褒めてくださったので嬉しかったです」と笑顔を見せた。また初共演となる吉永については「こんな光栄なチャンスはないだろうと、失礼がないようにと意識しながら過ごしました」と明かした。また、吉永の印象については「中心に立たれているんですけど、背中が温かくてかわいらしくて。いつかこんな女優さんになりたいと密かに思いながら過ごしました」と微笑んだ。
自身も映画監督として活躍する宮藤だが、「映画撮るのは楽しいのではしゃいじゃうんですけど、山田監督も楽しんでいるんだなと。撮り方で悩んだりされているのを見て、いいんだな自分もと思いました」と感慨深げな様子だった。その宮藤について、山田監督は「彼じゃなかったらできなかった。宮藤さんにやってもらって僕のイメージが何倍にも膨らんでよかった。体全体が中年男の悲しみを表現されていて素晴らしかった」と称賛した。
本作では下町が舞台となるが、ロケ地について山田監督は「なかなか昔の面影を求めようと思っても難しい」と語り、「隅田川をどう印象的に撮るかを工夫した」と明かした。その撮影に入る前には吉永から“子供の頃の写真を貸していただけないか”と言われたという大泉は「(写真を)かき集めて見ていただいて。そういう思いで、僕との役を作ろうと思っていただいている中で、僕にはより母親のように思えて。さらにビックリしたのが映画で使われてたんです」と実際に大泉の子供時代の写真が映画で使われていることが明かされ、吉永は「私じゃないですよ(笑)」と笑っていた。
吉永は「撮影の合間にいろんなお話をして、インタビュー上手でいらっしゃる。こんなことしゃべっちゃっていいのかしらということまでしゃべっちゃって」と明かした。これに大泉は「こんな機会ないので(笑)楽しかったです」と照れ笑いを浮かべた。
“撮影中にぼやきは?”と聞かれると「一切ぼやいていません」と即答する大泉。宮藤が「ずっとぼやいてました」と話すと、「ぼやいていません!宮藤さんはぼやいてましたよ」と否定する大泉。吉永は「一度も聞いてません」と、大泉の“ぼやき”がなかったことが明かし、会場を沸かせた。
【写真・文/編集部】
『こんにちは、母さん』は2023年9月1日(金)より全国で公開
監督:山田洋次
出演:吉永小百合、大泉洋、永野芽郁
配給:松竹
©2023「こんにちは、母さん」製作委員会