『君は放課後インソムニア』の完成報告イベントが3月15日(水)に都内で行われ、森七菜、奥平大兼、池田千尋監督が登壇した。
「富士山さんは思春期」、「猫のお寺の知恩さん」で一瞬のきらめきのような思春期を描いた青春漫画の旗手・オジロマコトが手掛け、2019年より「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載中の「君は放課後インソムニア」。幅広い世代から高い支持を得、現在、コミックスは第11集まで刊行されている大ヒット漫画を映画『東南角部屋二階の女』で長編映画の監督としてデビューし、テレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」や「祈りのカルテ」でも演出を務める池田千尋監督が実写映画化。若手実力俳優の森七菜、奥平大兼がW主演を務める。
以前より原作を読んでいたという森は「驚きましたね。簡単ではなかったですけど、分かりやすく夢がかなったと思う瞬間ってあるんだなと思いました」と喜びを表現し、「どこかで本当にあった話を誰かがのぞき見して書いているみたいな、飾らない二人、仲間たちが大好き」と原作の魅力を語った。一方で脚本を読んでから原作を読んだという奥平は「原作がある作品に出させていただくことがあまりなかったので、あまり実感わかないまま読んでいて。最初は(自身が演じる)丸太を中心に見ていたんですけど、出てくるみんなが個性豊かでだんだん惹かれていった」と明かした。
原作の舞台となる石川県七尾市で昨年夏に撮影された本作だが「撮影の休みには女子のチームで遠いところまで食べに行ったり、東京にいたらできないことができた」と振り返った森は「ファンとして聖地巡礼しながら撮影した感じで楽しかった」と明かした。奥平も「いろんなところを歩きたくなる場所。静かでのどかで心が癒される場所だと思って」と撮影の日々を振り返った。
撮影が始まる前日にはキャスト陣を集めて現地で「ツアーを組んだ」という池田監督。奥平は「実際に漫画で出てくる場所を歩いていて、後ろからキャストを見ると本物にしか見えない。見ているだけで納得できるものがあって楽しかった」という。森は「正夢見ているようで不思議でした。そこにキャストの方々が立つと不思議な気持ちになるんです。我ながら原作に似ているんじゃないかなと自分で思っていて(笑)同じ制服着て、同じ髪形を着て、『君ソム』の世界が本物の世界で生きているので入り込みやすかったです」と照れ笑いを浮かべた。
本作が2回目の共演となる2人だが、前回の共演では話す機会があまりなかったようで「はじめましてくらい。不思議な人だな。自分の世界観があって」と奥平の印象を語る森。一方で奥平は「(前回の共演では)ちょろっと話したくらい。(今回は)最初はたどたどしかった」と笑いながら振り返り、森は「いつの間にか撮影が楽しくなっていました。いっぱい仲間がいて馴染めたのかもしれない。どっちも人見知りなので」と振り返った。
その2人について池田監督は「天才だなと思いました。いまを生きるということをするんです。撮ってる側は、漫画の中のシーンを2人が生きて生み直して、見せてもらっている感覚」と絶賛。これに森は「天才はいいですね(笑)」と笑った。
不眠症がテーマとなる本作だが、「眠れない時も多くて、とにかくいろんなものを試します。5分で眠れる音楽を3時間くらい聞いた後で、ティーを飲んで。お風呂に入り直したり」と明かす森。奥平は「クランクインの前日とか、大事だなと思うシーンの前は寝れないことが多いです。緊張なのか不安なのか分からないですけど。何しても寝れないから諦めています。天井とにらめっこ」と悩みがあることを明かした。
最後に奥平は「この作品に対する思いは、まだ自分の中で言葉で表せない何かがある。その瞬間をちゃんと生きていた作品だと思っていて、楽しんでいるシーンもあれば悩んでいたシーンもまっすぐ生きていた。見ている方に伝われば嬉しいです」、森は「高校生2人のキラキラした物語ですが、どんなにキラキラした人を見てもその人なりの悩みがあって抱えているものがあると思う。キラキラだけが人生すべてじゃないと。生きていることのすべてを肯定できる、悩んでいることを含めて自分なんだと、悩みを抱えている人に寄り添っていける映画です」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『君は放課後インソムニア』は2023年6月23日(金)より全国で公開
監督:池田千尋
出演:森七菜、奥平大兼、桜井ユキ、萩原みのり、上村海成、安斉星来、永瀬莉子、川﨑帆々花
配給:ポニーキャニオン
©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会