〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を鮮烈なモノクロ映像で描く『せかいのおきく』の場面写真が解禁された。

阪本順治が自身のオリジナル脚本を映画化した本作。舞台は日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく（黒木華）は、ある雨の日、厠（寺所有の公衆便所）のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次（寛一郎）と、下肥買いの矢亮（池松壮亮）と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう…。貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、人と人のぬくもりを描。

今回、5点の場面写真が解禁された。黒木華と佐藤浩市演じる親子の日常を切り取ったシーンは、貧乏長屋で暮す武家の娘おきく（黒木華）と父の源兵衛（佐藤浩市）が、早朝の空を見上げて一日の始まりを迎える姿と、大雨で長屋の厠が溢れ出し、大量に流れだしたモノに大騒ぎしている。しっとりとした情緒溢れる姿と、鼻をつまんで思い切り顔をしかめるコミカルな表情の対比が面白く、かつお互いに心が通い合い、信頼しあう父と娘の絆が伝わってくる場面だ。

また、寛一郎と石橋蓮司の共演場面も初公開となった。血相を変えて家を飛び出したおきくを不審に思う中次（寛一郎）に、長屋の住人の孫七（石橋蓮司）が声をかけるシーン、そしておきくを襲った悲惨な出来事を知った中次が、いても立ってもいられず孫七に相談しに行く姿など、他人同士でありながらも、どこか父と息子のような情愛で繋がるふたりの関係を、寛一郎と石橋蓮司のコンビが絶妙に体現している。さらに、おきくと中次、矢亮の若者3人が“青春”を謳歌する、とびきりの笑顔が弾ける場面写真も披露された。

『せかいのおきく』は2023年4月28日（金）より全国で公開
脚本・監督：阪本順治
出演：黒木華、寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司
配給：東京テアトル／U-NEXT／リトルモア
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