『ザ・ホエール』の初日舞台挨拶が4月7日(金)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、主演のブレンダン・フレイザーが登壇した。

恋人を亡くしたショックに打ちひしがれ、現実逃避をするように過食を繰り返してきたチャーリー(ブレンダン・フレイザー)。歩行器なしでは移動もままならず、親友の看護師リズに頼って生活している。病状の悪化で自身の死期が近いと悟ったことで、長らく押し込め続けたトラウマと向き合うことを決意。さらに離婚して以来音信不通だった娘エリーとの絆を取り戻そうとする彼の最期の5日間を描く。ブレンダン・フレイザーが演じたのは体重272キロ、余命わずかな男・チャーリー。彼はこの役に挑むにあたり、自身の体重増量に加え、特殊メイクとファットスーツを着用して臨んだ。

『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』以来、15年ぶりに来日したブレンダン・フレイザー。今回行われた舞台挨拶には、抽選で当選した一般参加者がZOOMで参加し、作品の内容にちなんでオンライン授業を模してスクリーンに投影し、事前に寄せられた質問にフレイザーが回答した。

最初に、久々の来日で行ってみたいところを聞かれると、「おいしいラーメン屋さんは誰かご存知ですか?」と観客に問いかけ、和やかなムードで行われた舞台挨拶。「桜が散ってしまっていますが少し見られた」と笑顔を見せるフレイザーは、「友人のミシェル・ヨーさんも美しい方です。アカデミー賞までの6か月を歩めて光栄に思っています。彼女が受賞したことが業界の躍進につながると思うので見守れたことがうれしい」と、自身が主演男優賞を受賞した第95回アカデミー賞で、主演女優賞を受賞したを喜んだ。

本作は、アカデミー賞においてメイクアップ&ヘアスタイリング賞も受賞しているが、特殊メイクについて聞かれると「特殊メイクの過程に興味があるのでおもしろかった」と話すフレイザーは「デジタルで表現したものではないんです。肉体的に表現することが必要で、実際に重力や物理の法則にのっとった形で表現しています」と語った。さらに「チャーリーと出会ったら、きっと彼のことが好きになると思います。自分がそうだったように」といい、コロナ禍での撮影ということで「5人のキャラクターが、コロナ禍でお互いのことを思いやりながら撮影しました。その結果、とても思いやりのある人と人の関係性がスクリーンから届くような作品になったと思います」と本作への思いを語った。

ダーレン・アロノフスキー監督のリクエストで撮影前に3週間のリハーサルを行ったといい、「3週間を過ごす中で役者同士もお互いのことを知ることができましたし、発見もありました。お互いに演技をするところを見ることができたので、撮影に入る時には私たちが何をすべきかがはっきりと見える自信がありました」と振り返った。

また、「ホン(・チャウ)さんは、リハーサルの数週間前に出産されたばかりでした。赤ちゃんの面倒を見ることができるように、みんなで気を使いました」と明かした。さらに「セイディー(・シンク)さんは素晴らしい才能の持ち主。32年のキャリアを持つ自分から見ても驚異的でした」と称賛し、「『ストレンジャー・シングス』の最後の方の怖いモンスターを覚えていますか?セイディーは、『ザ・ホエール』の撮影を終えてから、あのモンスターとの対決のシーンを撮ったんです。だからモンスターは彼女に勝つわけがなかった」と笑いを誘った。

さらに、『ハムナプトラ』のようなアクション映画への出演については「アカデミー賞をいただいたので、(『ハムナプトラ』シリーズを製作する)ユニバーサルのボスが僕をキャスティングしてくれることを一緒に祈っていてください」と笑いを誘い、「この作品を楽しんでいただけたらと心から思っています」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『ザ・ホエール』は2023年4月7日(金)より全国で公開
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートン
配給:キノフィルムズ
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