役所広司主演『銀河鉄道の父』の公開を前に、宮沢賢治の作品を広める活動をしている賢治の実弟・清六の孫・宮澤和樹と原作者・門井慶喜のコメントが到着した。
門井慶喜が大量の宮沢賢治資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、究極の家族愛を描いた傑作にして、第158回 直木賞受賞作を映画化した本作。宮沢政次郎(役所広司)は、父の代から富裕の質屋を営む責任感と情熱のある男だが、長男・賢治(菅田将暉)が生まれると子育てに熱心で子供にはめっぽう甘い。宮沢賢治は、長男として質屋を継ぐことに反発して学問の道へ進み、さらに商人家系にもかかわらず農業や宗教の道に進みたいと我が道を行く。父・政次郎と長男・賢治の、人間味あふれる親バカ・ダメ息子のユーモアと苛烈な闘いの日々。そんな2人がお互いうまくいくように指南するなど、賢くしっかり者の妹・宮沢トシ(森七菜)。監督は成島出。
完成した映画を一足早く鑑賞した門井慶喜は「一観客として泣いちゃいました。三度目に見たときは二度目より泣きました。」と語ると、宮澤和樹も「伝記や史実としてではなくフィクションとして観ました。しかし賢治さんのユーモア、明るさ、誠実さを堪能し何度も笑い、泣きました。」とコメント。
これまで三上博史、松田龍平、鈴木亮平、中村倫也など錚々たる俳優たちが作家・宮沢賢治を演じ話題となったが、本作では菅田将暉が演じている。菅田は家族を振り回すも純粋で必死に自分の生き方を模索し、作家として精細な一面を見せた賢治を見事に再現。祖父・清六から賢治の人柄や作品世界について話を聴き、誰よりも賢治を熟知している宮澤和樹は「賢治さんの一途さ、弱さ、強さを見事に表現していたと感じました。菅田将暉さんの賢治さんへの観察力、想像力には深さをかんじました。」と菅田将暉版宮沢賢治に驚嘆。撮影で執筆するシーンでは宮沢賢治が実際に書いた原稿の文字を真似て撮影にも挑んだという。
最後に門井慶喜は「泣くほど感動するけれど、感動だけの話じゃないんです。笑いもあるし希望もある。私たちが家庭で味わうすべてがあります。」とコメント。そして宮澤和樹は「学校の授業や今までのテレビ番組等でのイメージとは違う賢治さん、それを支えていた家族。どのような才能もそれを支える人や環境が無ければ後世には伝わらない。異質な才能でも評価し、残し、伝える。これは大変な事ですが誰かがやらねばならない。賢治さんの場合 それが父であり家族だった。これは実に稀ですが本当に幸福なことです。」と映画公開の喜びを万感の思いで語った。
『銀河鉄道の父』は2023年5月5日(金)より全国で公開
監督:成島出
出演:役所広司/菅田将暉、森七菜、豊田裕大/坂井真紀/田中泯
配給:キノフィルムズ
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会