『銀河鉄道の父』の公開御礼舞台挨拶が5月13日(土)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、役所広司、菅田将暉、森七菜、成島出監督が登壇した。

門井慶喜が大量の宮沢賢治資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、究極の家族愛を描いた傑作にして、第158回 直木賞受賞作を映画化した本作。宮沢政次郎(役所広司)は、父の代から富裕の質屋を営む責任感と情熱のある男だが、長男・賢治(菅田将暉)が生まれると子育てに熱心で子供にはめっぽう甘い。宮沢賢治は、長男として質屋を継ぐことに反発して学問の道へ進み、さらに商人家系にもかかわらず農業や宗教の道に進みたいと我が道を行く。父・政次郎と長男・賢治の、人間味あふれる親バカ・ダメ息子のユーモアと苛烈な闘いの日々。そんな2人がお互いうまくいくように指南するなど、賢くしっかり者の妹・宮沢トシ(森七菜)。監督は成島出。

5月5日の公開から1週間が経った本作だが、多くの感想が寄せられている本作に「作った人間としては幸せ」と感慨深げな様子の役所。「反響が大きくて、普段映画の感想を言わない人から『おもしろかった』、『泣いちゃった』と言われるとうれしい」と話す菅田は「うちの家族は森七菜ファンになっていました。『森さんが』という感想しか聞いていない」と明かし、これに森は「しめしめです(笑)うれしいです」と笑顔を見せた。

そんな本作のこだわりポイントについて、「(劇中で)21歳の時の僕は必見ですね。一生懸命メイクさんが若返る努力をしてくださって」と明かす役所に、「必見ですね」と共感している菅田。さらに森が今21歳であることが分かると「同級生だね(笑)」と笑いを誘った。その菅田は「書き物がたくさん出てくる。映っているものはほとんど自分で書きました。めちゃくちゃ模写しました。もしDVDになって買っていただいた暁には、一時停止した賢治の文字と、宮沢賢治記念館に行った時の文字を見て欲しいです。寄せつつも自分なりの文字でやっているので」とこだわりを見せた。

撮影中には現場で生まれたシーンも多くあるようで、「指を示すところがあるんですけど、役所さんが劇中で真似するシーンがあるんです。役所さんにレクチャーするときは緊張しました」と明かすと、「僕はその時『そんな感じ…?』と思ったんですけど、そのシーンにきて菅田くんの前でやったら『おもしろいですね』と言ったので、よかったと思いました」と森のアイデアが採用されたという。

イベントでは、主題歌を担当したいきものがかりからのコメントVTRを上映。さらに、6月8日~22日[現地時間]にカナダ・トロントで開催される「トロント日本映画祭」のコンペティション部門でオープニング上映、同映画祭において成島監督が特別監督賞を受賞することが発表された。その成島監督とは4作でタッグを組んだ役所は「監督が助監督をやっているころからの友人であり仲間なので」と喜んだ。

最後に森は「この映画が遠くまで届けばうれしいなと思っています。みなさんがこの映画を観た後に幸せになることを願っています」、菅田は「観ていると頭の中に何人か浮かんでくる映画だと思います。その人たちとの時間がこれからより幸せな日々になっていくことを願っています」、役所は「末永くこの映画を愛してください」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『銀河鉄道の父』は全国で公開中
監督:成島出
出演:役所広司/菅田将暉、森七菜、豊田裕大/坂井真紀/田中泯
配給:キノフィルムズ
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会