『波紋』の初日舞台挨拶が5月26日（金）にTOHOシネマズ日本橋で行われ、筒井真理子、光石研、磯村勇斗、荻上直子監督が登壇した。

本作は、荻上直子監督のオリジナル最新作にして、監督自身が歴代最高の脚本と自負する絶望エンタテインメント。須藤依子（筒井真理子）は、今朝も1ミリ違わず砂に波紋を描いている。庭に作った枯山水の手入れは、依子の毎朝の習慣であった。“緑命会”という水を信仰する新興宗教に傾倒し、日々の祈りと勉強会に勤しみながら、依子はひとり穏やかに暮らしていた。ある日、長いこと失踪したままだった夫・修（光石研）が突然帰ってくるまでは―。

主人公・依子を演じた筒井は「私も結構我慢をするほう。依子は苦しいことがあっても自暴自棄にはならない」と共通点もあったといい、「以前、大変なことが重なって辛かったことがあったんですけど朝起き上がれないんです。でもここままではいけないと思って、デスクの前に座って脚本を書きました」と明かした。そして書き上げた脚本をある役者に渡したというが、「ついこの間ご一緒して、『筒井さん、ごめん。まだ読んでないんだよね』と言われまして（笑）」とエピソードを披露し、笑いを誘った。

その筒井との共演では「ご一緒したい女優さんのお一人だったので、本当にうれしかったです。刺激をたくさん受けました。お芝居を本当にお好きなんだなと現場で感じました。その心を大切にしたいと思いました」と語る磯村だが、光石については「いろんなところで共演させていただいていてお世話になっています。うれしかったです」と振り返った。

「監督とは長いことご一緒しているんですけど、本当に優しくて人間味のある人なんです」と話す光石だが「1割くらいブラックなところがあるのを常々感じていました。今回全面に出ていましたので『出たー！』と思いました。ここで出してきたかと」と明かし、笑いを誘った。

撮影現場では「（内容は）重いところがあるんですけど、スタッフのみんなさんがいい環境を作ってくださいましたし、優秀な方ばかりなので、僕らに寄り添ってくださったのが印象的でした」と荻上監督の印象を語る光石。その荻上監督は「（光石が）『おれのポジション取るなよ』と磯村さんにおっしゃっていた」と暴露。磯村は「僕もちょこちょこ出させていただいているので」と、“バイプレイヤー”としてのライバル視していたことを明かされ、磯村は「ライバルではないです（笑）光栄というか恐縮です」と笑った。

最後に光石は「多くの人に観ていただきたい映画です」、磯村は「暗い映画だと思われる方も多いと思うので、笑える映画だということを広めていただければ」、筒井は「クスクスと笑える映画です。最後のシーンも誰も褒めてくれなくても自分でOKだよと言ってあげたくてこの作品に臨んでいたので、観てくださった方にそんな気持ちになってもらえれば」とメッセージを送った。

【写真・文／編集部】

『波紋』は全国で公開中
監督・脚本：荻上直子
出演：筒井真理子、光石研、磯村勇斗／安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙、津田絵理奈、花王おさむ、柄本明／木野花、キムラ緑子
配給：ショウゲート
©2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ