第76回カンヌ国際映画祭の授賞式が5月27日[現地時間]に行われ、『怪物』が脚本賞を受賞した。
『万引き家族』の是枝裕和監督と『花束みたいな恋をした』「大豆田とわ子と三人の元夫」の脚本家・坂元裕二のコラボレーションで話題の本作の音楽に、『ラストエンペラー』で日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞し、『レヴェナント:蘇えりし者』や『怒り』など国内外を問わず第一線で活躍する坂本龍一が加わり、まさに怪物級のクリエイターが集結した本作。
物語の舞台は大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きた。それは、よくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に大人や社会、メディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちが忽然と姿を消す―。
5月16日[現地時間]からフランス・カンヌで開催された第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されていた本作だが、5月17日に授賞式が行われ、脚本賞(坂元裕二)を受賞した。
カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品は『ベイビー・ブローカー』以来2年連続、7回目で、カンヌ国際映画祭への出品自体は9回目となる是枝監督。「こんなに長くいたのはじめて」と明かす是枝監督は「オープニングだったので、ほぼ2週間丸まる滞在をして、こんなに自分以外の作品をみたのも初めてです」とコメント。
一足早く帰国した坂元からは「怪物チームの一人としてうれしいです、感謝です」「夢かと思った」とのコメントが寄せられ、「たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と喜びを表現したという。是枝監督は「僕と坂元さんで、これは誰に向かって書いたとかみたいなやりとりとかは一切してないんです」と明かし、「完成披露試写会の舞台挨拶で初めて坂元さんが子供の時に出会った男の子のことを書きましたという話が出て『そうだったんだ』と驚きだったんですけど、僕は僕であまり特定はしたくないんですけど、1人の男の子のためにこれは作ろうと思いました」と振り返った。
坂元ともう一度組んでやりたいかを聞かれると「僕はありますね。坂元さんがどう思っているかは今度聞いてみます。ただ、とても良いバランスで脚本と演出のタッグを組めたんじゃないかな」と語り、「お互いの良いところを引き出せたっていうとちょっと自分でほめ過ぎな気もしますけど、相性は良かったと思います」と再タッグに期待を寄せた。
また、今回『PERFECT DAYS(原題)』で最優秀男優賞を受賞した役所広司について「もっと世界的な評価があっていい役者さんだと思っていました。それが、ここでこういう形で結実してとても良かった」と喜んだ。
『怪物』は2023年6月2日(金)より全国で公開
監督・編集:是枝裕和
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童/田中裕子
配給:東宝、ギャガ
©2023「怪物」製作委員会