『渇水』の初日舞台挨拶が6月2日(金)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、生田斗真、門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子、山﨑七海、柚穂、髙橋正弥監督が登壇した。
第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林満による「渇水」を映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から30年の時を経て映画化した本作。監督は、相米慎二、市川準、阪本順治、森田芳光、宮藤官九郎ら錚々たる監督作品で助監督としてキャリアを重ねた髙橋正弥。主演は生田斗真。水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公・岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという難しい役どころを体現している。
冒頭では「大変な天候の中、足を運んでくださって本当に感謝しています。映画をご覧になっている間にも、雨が降って床も滑りやすくなっているので気をつけて帰ってほしいと思っています」と会場に訪れた観客を気遣った生田。本作が公開を迎えたことには「初日はうれしくて、何度迎えてもいいものだと思います」と喜んだ。門脇は「2年前に撮影をした作品で思い入れがある作品なので、初日を迎えることができてよかったと感慨深い気持ちです」と挨拶した。
「生田さんの目の力に我々は射抜かれて」という髙橋監督だが「疲れていく様を表現してくれるところに感銘を受けた」と振り返ったが、この絶賛の声に生田は「どんな顔をして聞いていればいいか分からない」と照れ笑いを浮かべつつ「ありがとうございます」と笑顔を見せた。
台湾での公開、上海国際映画祭での上映が決定している本作だが、海外での上映について「国を超えて、我々の一生懸命作った作品がたくさんの方にど届けられるのはうれしい」と笑顔を見せ、「役所(広司)さんも(カンヌ国際映画祭で)受賞されましたけど、かっこよかった。励みになります。憧れます。我々もがんばらないといけないと思いました」と磯村と目を合わせた。
「貧困や格差は世界の映画でも一つの大きなテーマ。水がなきゃ生きていけないのは一緒なので、作品の気持ちは理解してもらえると思うのでどんな風に感じてもらえるのか楽しみです」と語る白石。髙橋監督は「日本の映画がいろんな国の映画祭や上映で世界のみなさんに届けられる時代になって、日本人スタッフ、日本人俳優の力も海外に発信していけると思っています。これを機に、日本映画、日本俳優の力を世界に発信していければと思います」と語った。
最後に生田は「原作は30年以上前の作品で、この映画の企画が始まったのが10年前です。30年前でも10年までもこのメンバーは揃わなかったと思います。この時代に作ったからこそ、このメンバーでみなさんに届けられたことをうれしく思います。この映画を大切にしてほしいと思っています」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『渇水』は全国で公開中
監督:髙橋正弥
出演:生田斗真
門脇麦、磯村勇斗
山﨑七海、柚穂/宮藤官九郎/宮世琉弥、吉澤健、池田成志
篠原篤、柴田理恵、森下能幸、田中要次、大鶴義丹
尾野真千子
配給:KADOKAWA
©2022『渇水』製作委員会