『水は海に向かって流れる』の公開記念舞台挨拶が6月10日(土)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、広瀬すず、大西利空、戸塚純貴、當真あみ、前田哲監督が登壇した。
田島列島がユーモラスかつセンシティブな独特の筆致で描くのは、26歳のOL榊さんと高校生の直達を中心に、曲者揃いのシェアハウスの面々の想定外の日々を綴った、家族の元を離れて始まる、家族の物語。主人公・榊千紗を演じるのは『流浪の月』での好演の高い評価が記憶に新しい、広瀬すず。映画にドラマ、作品を重ねるごとに飛躍してきた広瀬が、クールで感情を表に出さない大人の女性を繊細に演じ、新たなステージに挑む。監督は、『そして、バトンは渡された』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』など、心潤す数々の群像劇を世に送り出してきた前田哲。人と人との向き合う過程を優しく描き、心の揺れ動きや溢れ出る感情を丁寧に映し出す。
昨日9日に公開された本作について「受け取り方が違うのでこれからどんな反応してくれるのか気になります」と期待を込める広瀬。一方で完成披露試写会を友人が観たという大西は「いろんな層に楽しんでもらえると感じてうれしかった」と笑顔を見せた。
本作が実写長編映画初出演となる當真は「すごくドキドキしていますし、緊張しています」と公開を迎えた心境を語り、「チケット予約の席がどれくらい埋まっているんだろうというのを見たり、みなさんの意見が気になると思いながらも怖くて見れずに、まだ何も見れてない」と明かし、会場を沸かせた。
公開初日となる前日9日には「最初の映画(上映)におばあちゃんが観に行ってくれた」という當真は「大きなスクリーンに私の顔がバンっとのっているのが不思議で仕方がないと感想をもらいました」と明かした。
劇中でのおすすめシーンについて「利空くんと當真さんがお弁当を食べているところ。憧れが詰まった甘酸っぱいシーンでかわいかった」と挙げる広瀬は「(當真演じる)楓ちゃんの心の動き方が好き」と語った。當真は「学校のシーンは大西くんとだけだったので、いい意味でリラックスできた、自然体でできたかなと思っているシーン」と振り返った。
さまざまな表情を見せる広瀬演じる榊さんだが、“一番ときめいた榊さん”を聞かれると「量子ている姿。ムスッと料理するんです。ただとてもおいしそうなご飯ができる」と話す戸塚は「強い女性にグッとくる」と笑いを誘った。當真は「(大西演じる)直達くんと腕相撲をしている榊さんが好きでときめいて。楽しんでいる表情に引き付けられました」と挙げ、大西は「すごく楽しそうだなと見ていて思いました」と振り返った。
また、作品の内容にちなんで、一緒に生活するとしたら譲れないルールについては「一番風呂がいい」と最初に答えた戸塚に、「私もです」「僕もです」という広瀬と大西。一方で「私は最後がいい。私の後は申し訳ない…」というと、広瀬と大西は「優しい」と声をそろえ、笑いを誘った。
そんな中で「それぞれの知り合いが遊びに来ることはあると思うんですけど、部屋にこもっていてほしい。共用部分に知らない人がいるのは嫌かもしれない」と譲れない部分を明かした。當真は「共有するものの位置を動かさない」と答え、「物を探すのが苦手で、動かされると見つけられない」と理由を説明。これに広瀬は「しっかりします」と笑いを誘った。その広瀬は「匂いはどうですか?甘い匂いがダメなんです。香りは統一してほしい」と語った。
イベントの終盤では、6月19日に25歳の誕生日を迎える広瀬をサプライズでお祝い。“榊さん”がデコレーションされたケーキに広瀬は「すごいうれしいです。この作品の思い出がまた一つ増えて幸せです」と笑顔を見せた。生活では「今まではお腹がいっぱいが苦しかったんですけど腹八分目が分かったり。朝走ったりしてそれが気持ちいいと思って、どんどん健康志向になっています」と“大人”を感じているという広瀬。25歳になることで「(本作では)OL役だったけど仕事のシーンがない。この年齢になったからこそ演じられる、20代半ばでしか演じられない役どころをやってみたい。楽しみにしています」と語った。
その広瀬からは、10代の大西と當真に「同世代とやる作品の人たちと今も仲が良くて、飾らずにいられた自分を知ってくれている、そして何でも話せる同世代の仲間たちは、今出会えって仲良くさせていただいているのと違う距離感で、貴重だなと思う瞬間が、助けられている瞬間がある。このもうちょっと年齢を重ねてから共演したときに、安心感とか、自分を分かってくれている人が現場にいることが救いになる瞬間はたくさんあると思う」と言い、「今後たくさん救いになるだろうなと経験上思います」とアドバイスを送った。
【写真・文/編集部】
『水は海に向かって流れる』は全国で公開中
監督:前田哲
出演:広瀬すず
大西利空、高良健吾、當真あみ/勝村政信
北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社