全米席巻の実写×ストップモーション作品『マルセル 靴をはいた小さな貝』のメイキング映像が解禁された。
実写とストップモーションを組み合わせ、監督自身が本人役で出演するなど、フィクションでありながらもドキュメンタリーのように見せかけたモキュメンタリー手法で、“たった2.5センチの、靴をはいたおしゃべりな貝”マルセルの姿を、コミカルにエモーショナルに描く本作。YouTubeで公開した短編から始まった本作は瞬く間に累計再生回数5,000万回を記録し、長編映画化。第95回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされるなど話題を呼んでいる。
貝なのに驚いたり、意気込んだり、涙を流したり、まるで人間と同じような感情表現をする、靴をはいた小さな貝・マルセル。今回解禁されたメイキング映像は、動画を見ている視聴者に向けて、マルセルが挨拶するシーンから始まり、緊張した面持ちで「僕はマルシェ……、またやっちゃった」といきなり噛んでしまう、キュートな一面を見せている。
映像では、自らが出演、脚本、監督を務めたディーン・フライシャー・キャンプが、そんなおしゃべりで好奇心あふれる貝・マルセルの誕生秘話を明かしていく。「じつは、この物語が生まれたのは、ジェニーとホテルに泊まっているときのことなんだ。友だちの結婚式があって、そこでジェニーが小さな声でしゃべりだしたんだ」とディーン監督が振り返ると、マルセルの吹き替えを担当したジェニー・スレイトとディーン監督が掛け合う形で、マルセルの声が誕生した瞬間をプレイバックしていく。強く印象に残るマルセルの声は、2人のちょっとしたおふざけから生まれたのだ。
さらにディーン監督とジェーンが、“貝がら”のキャラクターになった理由を説明する。ディーン監督は「友人のコメディショーのために、作品をつくらなくちゃいけなかったことをすっかり忘れていた」と語り、急ごしらえで作品作りをスタートし、近くのおもちゃ屋と手芸用品店で、ポーリーポケット、ぎょろ目、貝殻をたくさん購入して、そこからマルセルのフォルムを作り出したと語る。本メイキング映像では、映画とは違った手作り感満載の魅力を醸し出す、誕生初期のマルセルの姿が確認できる。様々なミラクルが重なりながら、マルセルが主人公の短編作品を完成させたのち、友人に頼まれてインターネット上にその動画をアップしたところ、爆発的に広がり、全米中に知れ渡る存在になったという。メイキング映像内では、本作の本編映像を駆使しながら、実際にバズった様子が解説されている。
“マルセルは特別な存在”と語るディーン監督は「この映画にとりかかるまでずいぶん時間がかかった。自分たちに誠実な物語を語る方法を見つけたかったんだ」と長編映画化にあたっての自身の思いを振り返る。当時、ドキュメンタリー作品を多く手がけていたディーン監督は「マルセルも本質的にはドキュメンタリーみたいなものだ。(マルセルの)短編もそういう設定で描かれてるじゃないか」と、気づいたと語る。そうして、フィクションでありながらもドキュメンタリーのように見せかけたモキュメンタリー手法を取り入れた映画作りが始まる。まず、声だけの録音を始めたディーン監督は「最初はちょっとした実験だったんだけど、いまはこの方法を取り入れて、本当によかったと思ってる」とコメントしており、7年もの制作期間を費やした作品の出来栄えに、自信を持っている様子がうかがえる。
メイキング映像
『マルセル 靴をはいた小さな貝』は2023年6月30日(金)より新宿武蔵野館、ホワイとシネクイントほか全国で公開
監督:ディーン・フライシャー・キャンプ
出演:ジェニー・スレイト(声)、イザベラ・ロッセリーニ(声)、ディーン・フライシャー・キャンプ、レスリー・スタール
提供:アスミック・エース、TCエンタテインメント
配給:アスミック・エース
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