SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023のクロージング・セレモニーが7月23日(日)にSKIPシティ 映像ホールで行われた。
“若手映像クリエイターの登竜門”として、映画界の未来を担う新たな才能の発掘を目的に2004年より毎年開催されてきたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。記念すべき第20回となる今回は、スクリーン上映とオンライン配信のハイブリッドで開催される。会期はスクリーン上映が7月15日(土)~23日(日)、オンライン配信が7月22日(土)~26日(水)に開催される。
7月15日(土)より開催されてきたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023。本年は102の国と地域から過去最多となる1,041本の応募があり、国際コンペティション10作品、国内コンペティション(長編部門)6作品、国内コンペティション(短編部門)8作品の計24本が上映された。
国内コンペティションでは、優秀作品賞(長編部門)を『地球星人(エイリアン)は空想する』(松本佳樹監督)、優秀作品賞(短編部門)を『猟果』(池本陽海監督)が受賞した。『地球星人(エイリアン)は空想する』の松本監督は「自分でおもしろいと思う作品を目標をしていたのでひとつ目標は達成できていたんですけど、賞をいただけてトロフィーがこんなに重いんだと感じながら。応援していただいて、背中を押していただいたと思って、より多くの人に作品を届けられるようにがんばっていきたいと思います」と喜びを表現した。
『猟果』の池本監督は「グランプリをいただけて光栄です。今この時代に映画を作る意味を考えながら作っています。自分たちが置かれた社会と状況と、映画で何ができるかを模索しながら、限られた予算でどう脚本で作り上げていけばいいのかを考えました」とコメントした。
また、国内作品を対象に選出されるSKIPシティアワードを『地球星人(エイリアン)は空想する』が受賞。審査委員長の中野量太は「新しい才能、新しい監督、新しい表現をする人がでてきたことに驚いたし、うれしかったし、嫉妬もした。絶対にこの映画祭の名前を冠した賞は、この映画祭が輩出した監督として誇りになるからあげるべきだと主張した」と大絶賛した。これに松本監督は「(優秀作品賞に続き)もうひとつさらに背中を押していただいた。さきほど感じた重みが2倍になった。僕だけの力じゃない」とスタッフやキャストへの感謝を口にした。
ほかに、観客賞(長編部門)を『ヒエロファニー』(マキタカズオミ監督)、観客賞(短編部門)を『勝手に死ぬな』(天野大地監督)が受賞、また優秀作品賞のほかに賞を授与できないかということで、スペシャル・メンションとして『ミミック』(高濱章裕監督)が受賞した、
国内コンペティションの中野量太 審査委員長は、自身も本映画祭に出品した経験があることから「ドキドキして表彰式を迎えたのを覚えています」と振り返り、「みんなが夜中に起きて『この1コマは切ったほうがいいんじゃないか』と答えがないものに答えを出そうとしているのを思い浮かべて涙が出そうになって。僕自身が映画祭に刺激をもらって、こんな作品を作る人がいるんだと驚きました。映画祭の意味を感じました」と語り、「今喜びに震えている人と悔しさに震えている人がいると思うけど、それも経験。この映画祭がみなさんの次へのステップになることを願っています」とエールを送った。
国際コンペティションでは、最優秀作品賞を『この苗が育つ頃に』(レーゲル・アサド・カヤ監督)が受賞。監督からはビデオメッセージで「名誉ある賞をいただけて大変光栄です。カメラと物語を通して、私たちの声を世界に届けようとしています。自由で平等な世界を手に入れようと闘っています。個の思いと目的のために、この賞を、戦争が終わった時の素晴らしい日に捧げたいと思います。また、自由と平等のために闘っている人々に捧げます」とコメントを寄せた。
ほかに監督賞を『僕が見た夢』(パブロ・ソラルス監督)、審査員特別賞を『シックス・ウィークス』(ノエミ・ヴェロニカ・サコニー監督)、観客賞を『助産師たち』(レア・フェネール監督)が受賞した。
国際コンペティションの豊島雅郎 審査委員長は「審査員3人ともにこの4作品がよかった」と受賞した4作品について語り、「映画祭が見出した、これから世界に出ていくであろう監督の才能を認めて、これから世界に発信していく。SKIPシティ映画祭が見つけた新しい才能として、この監督、この作品を応援できればと思います」と語った。
なお、オンライン配信は7月26日(水)23:00まで行われており、今回受賞した作品も視聴することができる。オンライン配信は、国際コンペティション/国内コンペティション(長編部門)は1作品300円、国内コンペティション(短編部門)は1作品100円、その他見放題プラン1,480円も用意されている。詳細は映画祭公式サイトにて。
受賞一覧
国際コンペティション
最優秀作品賞『この苗が育つ頃に』レーゲル・アサド・カヤ監督
監督賞『僕が見た夢』パブロ・ソラルス監督
審査員特別賞『シックス・ウィークス』ノエミ・ヴェロニカ・サコニー監督
観客賞『助産師たち』レア・フェネール監督
国内コンペティション
優秀作品賞(長編部門)『地球星人(エイリアン)は空想する』松本佳樹監督
優秀作品賞(短編部門)『猟果』池本陽海監督
スペシャル・メンション『ミミック』高濱章裕監督
観客賞(長編部門)『ヒエロファニー』マキタカズオミ監督
観客賞(短編部門)『勝手に死ぬな』天野大地監督
SKIPシティアワード『地球星人(エイリアン)は空想する』松本佳樹監督
※SKIPシティアワードは、国内コンペティション・国内コンペティションを通じた全ての国内作品の中から1作品を選出
【写真・文/編集部】
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023
[スクリーン上映]7月15日(土)~7月23日(日)にSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ホール、多目的ホール(埼玉県川口市)ほかで開催
[オンライン配信]7月22日(土)~7月26日(水)に配信
映画祭公式サイト