塗っては研いでを繰り返す通称“バカ塗り”…受け継がれる技と父娘の固い絆を描く映画『バカ塗りの娘』の場面写真が解禁された。

本作では青森の津軽塗のひとつひとつの工程を丁寧に映し出し、津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を描く。主人公・美也子役に堀田真由。将来への不安やほのかな恋心に心揺れる等身大の女性をたおやかに演じる。津軽塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫。二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだ。監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などの映画祭で高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子。四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、人々の「魅力」を織り交ぜながら、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。

今回解禁された場面写真は、漆塗りによってバラバラになってしまった主人公・美也子の家族を繋ぎ、美也子が変わるきっかけのひとつになるキーパーソン、花屋の青年・尚人を演じた宮田俊哉の姿を写し出している。尚人は、スーパーで働く美也子がいつも自転車で通る際に見かける花屋の青年。今回解禁されたのは、津軽塗職人の父・清史郎(小林薫)の仕事を手伝う美也子が、父の手伝いで訪れた結婚式場で、たまたま会場に居合わせた尚人と出会うシーンと、花屋で働く尚人を捉えたシーン。結婚式場で話すシーンは、美也子と尚人との交流が始まるきっかけとなる場面で、尚人のやわらかく爽やかな笑顔から、彼の明るく誰からも好かれる雰囲気が伝わってくる。

そんな尚人を演じた宮田は作品について「普段忙しなく生きている僕にとってはとても緩やかな良い時間を過ごすことが出来ました。そして何より優しい気持ちになれる作品だと思いました。初めての挑戦が沢山あってやり甲斐を凄く感じ、とても幸せでした」と語る。

宮田は、アイドルグループKis-My-Ft2のメンバーとして多岐にわたり活躍。出演するレギュラー番組の「キスマイ超BUSAIKU!?」(フジテレビ系)で以前堀田と共演しているが、そのときの番組での印象とは異なり、堀田の持つ空気感がこの作品にとてもマッチしていていたと感じたという。一方、堀田は、テレビのバラエティや音楽番組で見ていた宮田とお芝居をすることがとても新鮮で不思議だったと話しつつ、宮田が演じる尚人はまるで当て書きかのようなハマりっぷりだったと明かす。

どんなときも爽やかな笑顔で接客する尚人に密かに元気づけられていた美也子は、尚人に淡い想いを抱くが、実は尚人は美也子の兄・ユウのパートナー。そのことを知った美也子にとって、尚人は次第に良き相談相手へと変わっていく。父の仕事を継ぎたいが、決心しきれない美也子に対し、「漆、継がないんですか?」とさりげなく背中を押し、美也子が変わるきっかけをつくる。自分に自信がない美也子や頑固で不器用な清史郎と違い、自由に自分たちらしく生きるユウと尚人。

2人について原作者の髙森美由紀は「伝統工芸が持つ「敷居が高い」「古い」「とっつきにくい」「重厚」「かたい」などの一般的なイメージとは対比で「とっつきやすい」「新しい」「軽やか」「やわらかい」をユウと尚人は体現しています。伝統工芸が持つイメージのその先を見せてくれそうな瑞々しさを持っていると思いました」と語る。これから津軽塗に挑戦しようとする美也子にとって大切な存在である尚人に注目だ。

『バカ塗りの娘』は2023年8月25日(金)より青森県で先行公開、9月1日(金)より全国で公開
監督:鶴岡慧子
出演:堀田真由/坂東龍汰、宮田俊哉、片岡礼子、酒向芳、松金よね子、篠井英介、鈴木正幸、ジョナゴールド、王林/木野花、坂本長利/小林薫
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023「バカ塗りの娘」製作委員会