加藤シゲアキの書き下ろし長編小説『なれのはて』のカバーデザインと、書店用ティザーポスターデザインが公開された。
1万字のプロットから始まり、構成をじっくり練り上げ、原稿に向きあった期間は約3年。原稿用紙740枚超の大作となった加藤シゲアキ書き下ろし長編小説『なれのはて』。舞台は、東京、秋田、新潟。そして時代も令和から、戦
前戦後の昭和、そして大正までを描く。
物語のきっかけになるのは、終戦前夜に起きた日本最後の空襲といわれる、秋田・土崎空襲。これは秋田にルーツ
のある著者が温め続けてきたテーマです。いつの時代も悲劇と後悔は背中合わせ。やるせない人間の業(ごう)と向きあいつつ、一方で力強く生き抜こうとする人びとの姿を、一枚の絵のミステリを通じて描く。芸術の痛みも、社会の問題も、時代の残酷さも、家族の愛も、あらゆるものが詰め込まれた物語の「なれのはて」。いまの「加藤シゲアキのすべて」をエンターテインメント小説として昇華させた書き下ろし巨編。
今回、書籍のカバーデザインとティザーポスターデザインが公開された。「一枚の絵の謎」から始まる本作らしく「絵の具」をモチーフに、秋田・土崎空襲と密接な関係のある「石油」を想起させる黒が映える美しい装幀となった。紙の手触りや箔など、写真では伝わりにくい細やかなディテールが魅力的な書籍となる。
メインのキャッチコピーは<生きるために描く。それが誰かの生きる意味になる>。ボディコピーは<一枚の絵を通じてたどり着く『いつか還る場所』>。様々な意味と想いを込めたコピー。デザイナーは高柳雅人。数々のベストセラーの装幀を手がけてきたヒットメーカー。総ページ数は448ページ。戦争、家族、仕事、芸術、いまの「加藤シゲアキのすべて」を詰め込んだ重厚な一冊に仕上がった。
9月22日発売の「⼩説現代10⽉号」には複数のライター、書評家が本書についての原稿を寄稿している。ロングインタビューを担当したノンフィクションライターの⽯⼾諭は「加藤もまた社会を⾒つめて、書き続けるという道を選んだ。それは変化を受け⽌めるということでもある。作家としての道を続けることにも、表現を続けることにも個⼈としての責任が伴う。時に⼤きな困難はあっても⾔葉を紡ぎ続ける責任を引き受けた――。『なれのはて』は、現時点での彼の覚悟の結晶である。そんな評価がいずれついてくるだろう」と記述。
また、加藤による「ミステリ」を待望していたという書評家の⼤森望は「加藤シゲアキは、激動の歴史とどうしようもない⼈間たちのドラマを重ね合わせ、読み応えたっぷりの⼀⼤エンターテインメントに結実させた。新たな代表作と呼ぶにふさわしい傑作だ」と⾼い評価をしている。同じく書評家の杉江松恋は「他者には他者の理論があり、⽣きるための姿勢は⾃分とまったく異なる。加藤はそのことを理解し、⼩説の形で表現しようとした。⾏間から作者の声が聞こえてくるようだ。あなたを知りたい、⼼から。そうつぶやいている」と語り、同じく吉⽥伸⼦さんも、「『なれのはて』というタイトルの意味は、本書を読んで、実感して欲しい。そして、それが意味することの深さを、重さを、胸の中に沈めて欲しい」と絶賛。
さらに発売に先駆けて校了前プルーフを読んだ書店員からも「凄まじい引⼒を持った作品」「この作家に、この業界の未来を預けてみたくなった」「すごい作品を⼤切に売っていきたい」「この作家に出会えたことに感動を覚えた」など発売前から異例の熱い声がたくさん届いている。加藤の肖像を使⽤したティザーポスターは順次書店店頭に掲出される予定。
『なれのはて』
著者名:加藤シゲアキ
発⾏:講談社
発売⽇:2023年10⽉25⽇(⽔)
判型:四六判ワイド上製
定価:2,145円(税込)