明治座創業150周年記念『赤ひげ』の製作発表会見が9月26日(火)に都内で行われ、船越英一郎、新木宏典、崎山つばさ、猪野広樹、高橋健介、河相我聞、菅井友香、山村紅葉が登壇した。

山本周五郎の傑作小説「赤ひげ診療譚」を舞台化した本作は、江戸時代の小石川養生所を舞台に、武骨で謎めいた医師「赤ひげ」と青年医師、そして貧しい患者や市井の人たちとの魂の交流を描く。患者に医術を施すだけでなく、患者の抱える事情にも踏み込み献身的に面倒を見る新出去定(通称「赤ひげ」)役は、芸歴41年にして初舞台となる名優・船越英一郎が務める。脇を固めるメインキャストには長崎遊学を終え、小石川養生所に医員見習いとしてやってくる保本登役に新木宏典、同じく小石川養生所で医員として働いている若き医員津川玄三役に崎山つばさ、森半太夫役には猪野広樹と高橋健介がWキャストで出演。また、赤ひげが気にかけている一家の主・十兵衛役に河相我聞、とある患者を献身的に看病する女中・お杉役には菅井友香、養生所で女中として働くお光役には過去テレビドラマなどで船越英一郎と多くの共演経験を持つ山村紅葉が出演する。

本作が舞台初出演にして初主演となる船越は「2017年からTVドラマとして『赤ひげ』を大切に演じ続けております。今回は装いも新たに舞台になるということでお声をかけていただきました」と挨拶し、「63歳にして初舞台です。初座長で、歴史ある明治座の150周年作品。大変な栄誉と、とてつもない重責を担って挑む」と本作にかける思いを語った。また、観客に向けて「懸命にあがき、もがき、のたうち回る姿を微笑ましく楽しんでいただいて、みなさんの小さな勇気につながっていけば役者冥利に尽きる」と意気込みを語った。

新木は「船越英一郎さんが初舞台に立たれる。初座長を務められる、絶対に失敗することができないというプレッシャーを感じながらも(笑)」と笑いを誘いつつ、稽古場では「充実した毎日」を過ごしていることを明かした。崎山は「個人的に崖っぷちに追い詰められてというところがあるんですけど、船越さんが個人的に言葉をかけてくれたり、稽古をしてくれたり、崖っぷちの自分を救ってくれるということで、本当の意味で“崖の帝王”だなと感じています」と表現し、会場は笑いに包まれた。

「偉大なる先輩方とご一緒に歴史ある名作を、何度も観劇させていただいていた明治座150周年というタイミングで、今回名作に挑ませていただけること本当に光栄です」と挨拶した菅井は「初めてのことが多い中で日々試行錯誤しています。みなさんがたくさんアドバイスをくださって、やる気に満ち溢れた毎日を過ごさせていただいています。作品を通して、みなさんに生きる力を、明日もがんばって生きようと思っていただけるパワーをたくさんお届けできるように精一杯努めてまいりたいと思います」と語った。

今回の初舞台について船越は「全部苦労です」と笑いつつ、「『赤ひげ』に挑むのはドラマの時から、無謀な大冒険に出ないといけないと思っていたんですけど。今回は自分のフィールドではないところでさらなる大冒険に出てしまって。地獄を見るのか天国を見るのかドキドキするところにいる」といい、「稽古場はみなさんのおかげで辛い中でも楽しく稽古をさせていただいています」と語った。また、役については「私にとってライフワークにしたいと思っている役」とコメントした。

若手キャストとの共演について、船越は「僕は青春ドラマだと思っています。みんなが赤ひげと触れ合う、向き合うことで少しずつ自身の殻を破る。少しずつ自我が目覚め独立していかれるような成長を遂げていく成長譚だと思っています」と語り、「稽古場の我々の関係がそのまま若き医師と赤ひげの関係になって、みなさんの前に我々が立った時に、僕らの中に流れている何かをみなさんに感じ取っていただけることが楽しんでいただく近道かもしれない。稽古場では向かってくるエネルギーをすべて吸い取り、そんな感じで楽しい稽古場だね!」と笑った。

そんな船越について新木は「抜き打ちでセリフ合わせをしてくれる。巻き込んでくれるのがセリフを覚えていくうえで役に立っているので救われています」といい、菅井は「自分の役柄にとっても赤ひげ先生ですが、私にとっても偉大な先生。大尊敬しています」と語った。

【写真・文/編集部】

明治座創業150周年記念『赤ひげ』

原作:山本周五郎『赤ひげ診療譚』より
脚本:堤泰之
演出:石丸さち子
出演:船越英一郎、新木宏典、崎山つばさ、猪野広樹(Wキャスト)高橋健介(Wキャスト)/菅井友香/山村紅葉

東京公演
期間:2023年10月28日(土)~11月12日(日)
会場:明治座(東京都中央区日本橋浜町2-31-1)
料金(税込):S席(1・2階席)12,500円、A席(3階席)6,000円
一般発売日:2023年9月24日(日)10:00
公式Twitter: @meijiza_theater

大阪公演
期間:2023年12月14日(木)~12月16日(土)
会場:新歌舞伎座(大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13)
料金(税込):S席(1・2階)12,500円、A席(3階)6,000円
一般発売日:2023年10月7日(土)10:00
公式Twitter: @shinkabukiza

公式サイト: 東京公演 大阪公演