佐渡島を舞台に記憶を失った2人の謎めいた過去と運命を描く小松菜奈&松田龍平W主演映画『わたくしどもは。』が第36回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが決定した。
本作は、ヴェネチア国際映画祭が新鋭監督を支援するプロジェクト、Biennale College Cinema 2018-2019において、インターナショナル部門9作品のうち日本から唯一選ばれた企画であり、香港国際映画祭、昨年の東京国際映画祭など多くの国際映画祭でも映画化の期待と注目を浴びた。企画から5年の月日を経て、10月23日に開幕する第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に正式出品作品としてワールドプレミアを迎える。
江戸時代、無宿人と呼ばれる戸籍を剥奪された人々が内地から佐渡島に連れてこられ、金山で過酷な労働を強いられた結果、多くの方が命を落とすという出来事があった。佐渡島を訪れた富名監督は、この金山跡地の片隅にひっそり佇む墓地、”無宿人の墓”の存在から本作の着想を得たという。戸籍の無い人たち”無国籍者"は、遠い過去の出来事ではなく、日本そして世界的にも増加し現在問題となっている。
「この社会に記録上存在していない、無宿人と無国籍者は、亡くなってもその存在は永遠に認められることがないまま、その魂は“彷徨える魂”としてこの世を漂っている。忘れ去られないためにもこれをテーマに映画を作りたかった」と監督は話す。続けて、「この映画の物語を支えるプロットとし、佐渡金山を象徴する二つに割れた山、道遊の割戸と呼ばれる金山が大切な役割を担っている。じっと眺めていると、その割れた裂け目はあの世とこの世を繋ぐ出入口に思えたことが映画の強いインスピレーションになった」と作品に対する強い思いを明かす。
富名監督は、英国ロンドンフィルムスクールで映画を学んだ後、2013年に短編『終点、お化け煙突まえ。』(岸井ゆきの主演)を監督・脚本し、第18回釜山国際映画祭の短編コンペ部門をはじめ、第8回JOGJA-NETPAC Asian Film Festival の短編部門ではグランプリを受賞、世界10か国以上の国際映画祭で上映された。2018年、続く長編初監督作品『Blue Wind Blows』(内田也哉子・内田裕也共演)は、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション・コンペティション部門正式招待されたのを皮切りにサンパウロ国際映画祭他、台湾、インドネシア、スペイン、ポーランド、オーストラリアの映画祭などで上映された。主演に小松菜奈と松田龍平を迎えた本作が待望の長編監督第2作となる。
特報映像
富名哲也(監督・脚本)コメント
「わたくしどもは。」は、叶わぬ恋をした悲運の男女のその後を描いています。二人は“彷徨える魂”として、生きているのか死んでいるのかわからないままこの世を漂い続けているのです。そんな現実離れした物語の難しい人物像を、主演の二人である小松菜奈さんと松田龍平さんが圧倒的な存在感でこの映画に説得性をもたらしてくれました。おふたり無くしては作品は完成し得ませんでした。私のプロデューサーでもある妻と製作した本映画の独特で不思議な世界観を、劇場で多くの人に体感して頂けたらと思っています。
ストーリー
舞台は佐渡島の金山跡地。倒れている女(小松菜奈)が目覚める。女には過去の記憶がない。女は、清掃員の女性キイに助けられ、家に運ばれる。そこにはアカとクロという名の女の子も暮らしている。名前を思い出せない女はミドリと名付けられ、キイと一緒に清掃員として働き始める。ミドリはそこで警備員の男(松田龍平)と出会う。 男もまた名前と過去の記憶がないという。そんなミドリと男は互いに惹かれ合っていく…。
『わたくしどもは。』は2024年に公開
監督・脚本:富名哲也
出演:小松菜奈、松田龍平
配給:テツヤトミナフィルム
配給協力:ハピネットファントム・スタジオ
©TETSUYA to MINA film