『アリスとテレスのまぼろし工場』の中島みゆきによる主題歌「心音(しんおん)」ミュージックビデオ(フルver.)が解禁された。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などの脚本を担当し、監督デビュー作となった『さよならの朝に約束の花をかざろう』で国内外から高い評価を得た岡田麿里監督最新作でMAPPA初のオリジナル劇場アニメーション。突然起こった製鉄所の爆発事故により全ての出口を失い、時まで止まってしまった町が舞台。いつか元に戻れるようにと、住民たちは何も変えてはいけないルールを作り、鬱屈とした日々を過ごしていた中で、中学三年生の正宗は気になる存在の謎めいた同級生の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れる。そこにはいたのは喋ることのできない、野生の狼のような少女―。2人の少女と正宗との出会いは、世界の均衡が崩れるはじまりだった…。主人公・菊入正宗役を榎木淳弥、正宗の同級生・佐上睦実役を上田麗奈、謎の少女・五実役を久野美咲が演じる。

中島みゆき初のアニメーション映画への書き下ろし楽曲となった、主題歌「心音(しんおん)」。先日、『アリスとテレスのまぼろし工場』の映像で全編が構成されたミュージックビデオ(ワンコーラスバージョン)が解禁され、大きな話題を呼んだ。そして、映画の公開を迎え、ミュージックビデオ(フルver.)が解禁された。MVは、映画本編からの初出し映像がたっぷりと使われた映像となっている。

壮大で眩しいくらいに美しい映像が話題の本作だが、今回解禁された映像では、恋する衝動を武器に揺れ動く少年少女たちが、その衝動の先にある“未来へ”向かう姿が新たに描かれている。映像の前半は、爆発しそうな恋の衝動を抱え、ぶつかり合いながらもお互いの存在を意識せずにはいられない正宗と睦実の姿を中心に映像が繋がっていく。そんな彼らの心を声を代弁するかのように、「考えないどうでもいい夜が塗り込めるでも渡さない微(かす)かな熱僕の中の心音(しんおん)」という歌詞が重なり、観る者にも、彼らの胸の高まりが伝わってくるかのようだ。そして、映像は、ただ衝動に身を任せるままではなく、視線を定め、顔をあげて、先へ先へと手を伸ばそうとする正宗たちの姿へ。

迷いのあった顔が、たくさんの怒りと後悔と絶望のあとに、決意を固めた表情に変わっていく。 “何かを選択する”のか、“何かを手離す”のか、涙を流しながらも温もりあふれる顔が並ぶ。「僕は本当の僕へと祈りのように叫ぶだろう未来へ未来へ未来へ君だけで行(ゆ)け」という、力強い中島の歌声からは、それぞれが選んだ、全ての“未来” への願いがこめられているようにも聴こえる。映像の最後は、大学生くらいの女性が、工場の中で、はにかみながらも何かを懐かしんでいるような表情が映し出され、映画に登場する全員が集合した、“いつかどこかにあるかもしれない風景”で幕を閉じる。

岡田監督自ら監修し、中島みゆきにとっては、初のアニメーション映像を使った主題歌「心音(しんおん)」のMV。映像から伝わってくる、正宗たちのあふれんばかりの衝動、そして未来への思いに触れると、これから鑑賞しようとする人も、二度目三度目の人も、劇場へ彼らに会いに行きたくなる気持ちになるだろう。

主題歌「心音(しんおん)」ミュージックビデオ(フルver.)

『アリスとテレスのまぼろし工場』は全国で公開中
原作・脚本・監督:岡田麿里
出演:榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲/八代拓、畠中祐、小林大紀、齋藤彩夏、河瀨茉希、藤井ゆきよ、佐藤せつじ/林遣都、瀬戸康史
配給:ワーナー・ブラザース映画、MAPPA
©新見伏製鐵保存会