人生の隙間を音楽が埋める―池松壮亮主演『白鍵と黒鍵の間に』のメイキング映像が解禁された。

本作の舞台は昭和末期、夜の街・銀座。未来に夢を見る「博」と夢を見失っている「南」、二人のピアニストの運命が大きく狂い出す一夜を描く。原作はジャズミュージシャンで、エッセイストとしても才能を発揮する南博の『白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-』。ピアニストとしてキャバレーや高級クラブを渡り歩いた3年間の青春の日々を綴った回想録だが、共同脚本を手がけた冨永昌敬監督と高橋知由が一夜の物語に大胆にアレンジ。南博がモデルの主人公を「南」と「博」という二人の人物に分けて、“3年”におよぶタイムラインがメビウスの輪のようにつながる“一夜”へと誘い、観る者を翻弄する。一人二役で二人のジャズピアニストを演じ分けるのは池松壮亮。

主演の池松壮亮は、今回一人二役のジャズ・ピアニスト役に挑戦した。夢に向かって邁進する若きピアニストと、夜の街のしがらみに囚われて夢を見失ってしまったピアニスト、というある意味対極にいる二人の人物を見事に演じ分け、日本映画界に欠かせない俳優としての実力を存分に発揮している。しかし池松は本作で、誰もがその力を認める絶大な演技力だけではなく、役として必要不可欠なピアノ演奏でも、人々を魅了している。挑んだのは、劇中、弾いてはならないあの曲として重要な場面で流れる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」。しかも、本作の音楽を担当した、いまジャズ界で最も注目される若きピアニスト・魚返明未氏によるジャズアレンジver.となっており、難易度がグッと上がった名曲だ。

池松自身、本作のオファーを受けるタイミングでは、ピアノ経験はほぼゼロに等しかったと言うが、自ら、実際に「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を演奏することを宣言！ジャズのアレンジが入っている曲は譜面に落とすのが難しいとかで、練習は魚返氏が弾いた音源を元に、耳で聴きながら弾いてみて、を繰り返していたとか。あまりの難しさに“弾くなんて言わなきゃよかった…”と後悔する事もあったというが、そんな半年間の猛特訓を経て、「ゴッドファーザー 愛のテーマ」ジャズアレンジver.を見事に習得する俳優魂をみせつけている。今回、池松が撮影現場で実際にピアノ演奏を行うメイキング映像が到着した。

映像内では、集中してピアノに向き合う姿が映し出されており、繊細なタッチと真剣な様子でピアノの音色を奏でる様子は、本物のピアニストさながらの雰囲気を纏っている。今回、池松はピアニスト役を演じるにあたり、原作者の南博や実際のジャズピアニストの演奏風景を参考に役作りを行ったそう。ピアノの猛練習と緻密な役作りを経て披露された撮影時の演奏は、生粋のジャズ好きを公言し、ジャズ喫茶で10年以上もアルバイトを続けていた冨永監督も絶賛する完璧さで、その演奏を聞いた冨永監督は、急遽、池松が演奏した音楽をそのまま本編に活かす方向に変更したそう。

メイキング映像

『白鍵と黒鍵の間に』は2023年10月6日（金）よりテアトル新宿ほか全国で公開
監督：冨永昌敬
出演：池松壮亮
仲里依紗、森田剛
クリスタル・ケイ、松丸契、川瀬陽太
杉山ひこひこ、中山来未、福津健創、日高ボブ美
佐野史郎、洞口依子、松尾貴史／高橋和也
配給：東京テアトル
©2023 南博／小学館／「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会