第28回釜山国際映画祭が10月4日(水)に開幕し、オープニングレッドカーペットイベントにジソク部門出品作品『月』で主演を務める宮沢りえ、石井裕也監督が登壇した。
実際の障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸による小説「月」を石井裕也監督が映画化した本作。主演に宮沢りえ、共演にはオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみ。深い森の奥にある重度障害者施設で働くことになった、“書けなくなった”元有名作家・堂島洋子(宮沢りえ)は、彼女を「師匠」と呼ぶ夫・昌平(オダギリジョー)と慎ましく暮らす。施設職員の同僚には作家を目指す陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな⻘年さとくん(磯村勇斗)らがいた。そして、洋子と生年月日が同じ入所者“きーちゃん”。ベッドに横たわったまま動かない“きーちゃん”のことを、洋子はどこか他人に思えず親身になっていく。しかし、洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っている、さとくんの中で増幅する正義感や使命感が、怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく。そして、その日はついにやってくる―。
映画祭のナビゲーターとして韓国のスターであるソン・ガンホ(『パラサイト半地下の家族』『ベイビー・ブローカー』)が登壇し、レッドカーペット上では石井裕也監督、宮沢りえらとも握手を交わし、観客に大きくアピールをした。初めて釜山国際映画祭に参加した宮沢りえは、レッドカーペットを歩く前に「まだホテルの周りしか見れておりませんが、空港からホテルに着くまで文化的な伝統ある風景と、近代的なビルが混在していてとてもエネルギッシュな街だと思いました。あと、参鶏湯が美味しかったです(笑)」と初の映画祭への期待を覗かせた。さらに、釜山映画祭は10年ぶりという石井裕也監督は「釜山に来るときはいつも気分が高揚するので、今回も楽しみにしています」とコメント。
また、主人公を演じる上で宮沢は「洋子(宮沢が演じた役)が持っている様々な葛藤から逃げ出さずに、向き合い続けるということにとてもエネルギーが必要でしたし、時々逃げ出したくなることもありましたが、精神力を保つことが一番大変でした。でも監督のエネルギー、スタッフの誠実さ、そして頼もしいキャストの皆さんに支えられて逃げ出さずに来れたと思います」と作品に対する道のりを語った。
さらに、石井監督はこの題材を映画化することについて「チャレンジングな題材だということはわかっていたので、怖いという思いが先行しましたが、同時にこれはどうしても自分がやらなければならない映画だということは確信しました」と覚悟を持って作品に挑んだことを明かした。さらに、出演した俳優に関しても監督は「名実ともにトップの俳優の方々が覚悟を持って集まってくださいましたし、その上この映画をやり遂げるという強い思いと覚悟を持って挑んでくださったので、爽雨方々の競演はとても見応えがありましたし、現場では幸せな思いをずっと持っていました」と語った。
今回のレッドカーペットイベントには、日本からのゲストも多く来韓しており、杉咲花、田中麗奈ら俳優陣も参加している。第28回釜山国際映画祭は10月4日(水)~10月13日(金)に韓国・釜山で開催される。
【提供写真・オフィシャルレポート】
『月』は2023年10月13日(金)より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国で公開
監督・脚本:石井裕也
出演:宮沢りえ
磯村勇斗
長井恵里、大塚ヒロタ、笠原秀幸
板谷由夏、モロ師岡、鶴見辰吾、原日出子/高畑淳子
二階堂ふみ/オダギリジョー
配給:スターサンズ
©2023『月』製作委員会