『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の大ヒット御礼舞台挨拶が10月7日(土)にTOHOシネマズ新宿で行われ、小室哲哉、こだま兼嗣(総監督)、長崎行男(音響監督)、若林豪(プロデューサー)が登壇した。
1985年に北条司が『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始した『シティーハンター』。原作の発行部数は全世界で5,000万部を超え、今なお世界中で絶大な人気を誇る。2019年公開の『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』は観客動員数100万人、興行収入15億円を超えるヒットを記録した。そして、『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』では、前作に続き現代の東京を舞台にそのストーリーは冴羽獠の過去、そしてパートナーであった槇村秀幸の死の核心に迫っていく。冴羽獠役の神谷明、槇村香役に伊倉一恵、野上冴子役に一龍斎春水、海坊主役に玄田哲章、美樹役に小山茉美といったお馴染みの声優陣が続投、そしてエンディングテーマは『Get Wild』。
「お話を最初にちゃんと聞いたのが去年の12月で。まずオープニングの曲の話だったので、去年のうちに帰り道にできてしまって。発表が6月だったので本当に長い半年で、そこからみなさんに聞いてもらうまで3か月くらいあった」と振り返った小室。
こだま総監督は「『GET WILD』は最初に聞いたときに、作品にふさわしいかっこいい曲だったので、これはハードボイルドに映像を作らなきゃいけないとみんなで頑張った記憶があります」と振り返り、シリーズの特徴でもあるエンディングについて「ラストカットにイントロが流れるんですけど、イントロの時に“止めて引く”という画面を作った時に思った以上にかっこよかったんです。それ以来ずっとこの画面でやり通そうと決めて今まで続いています」と明かした。小室は「イントロの静かなところを一度でいいからみなさん会話してほしいんです、イントロの中で。そうすると急にドラマチックになるんです。今で言うとエモくなる」と語った。
プレス発表イベントでは、今回もエンディング曲となっている『GET WILD』が“最大のライバル”と話していた小室だが、オープニングテーマ「Whatever Comes」について「『シティーハンター』は陽と陰というか、対比するものが同軸上にずっと動いているドラマ。こだま総監督の意向もあったんですけど、なるべく明るい音で始まりたいと。ほどよい『GET WILD』との対比を考えないといけない。明るすぎないような明るさを作ろうと思いました。頭の中ですぐに浮かんで。帰りの車で“こんな感じがいい”と思った」と振り返った。
オープニング曲について「今回は特に音に映像もハマっている。両面から見てもハマっているという感じがするので、スタッフの方の音楽愛があるんだろうなと思います」と語った。一方で若林プロデューサーは「小室(哲哉)さんと(作詞を担当した)小室みつ子さんの作品への寄り添いを感じさせる曲だなという印象を持っています」といい、「歌の中でシーンをつないでくださっている。シナリオを読んで考えてくださっている」というと、小室は「専門用語たくさん入っているので、小室みつ子さんが脚本を読むのが苦手で、電話で説明してほしいと言われて(笑)オープニングテーマなんですけど『エンディングこうなっていくんだよね』と」とエピソードを披露し、会場を沸かせた。
また、劇中歌の「Angie」について、小室は「降ってきた感じ。シンプルなものですけど、15分くらいでほぼできた」といい、「極限みたいなバトルになると、真剣に争っている人にとっては静かな音になってきて、息づかいまでも聞こえてくる感じになるのではないかと思って。真っ白な世界に流れてくる、そこにいる人にしか分からない音をイメージしました」と明かした。この楽曲について、こだま総監督は「ハードな曲が来ると思ったんです。ところがキャラクターに寄り添ってくれる、納得させる曲だったので驚きました」といい、「映像に音をつけてみたところ感動して、拍手をして声に出してしまったくらいでした」と振り返った。
一方で挿入歌「DEVOTION」については、「大事なポイントに登場する曲なのと、『DEVOTION』という言葉を探してた。冴羽獠は簡単に愛とか恋とかを口に出さないキャラクターで、あまりにもシャイな方なので。ラブストーリーの要素もあるけれど、愛情を超えたものを感じると思っていて。“献身”という言葉が出てきた。ピッタリだと思って、その言葉を使って作りたいと思った」と楽曲タイトルに込めた思いを語った小室は「この年にきて、ラブとかを超えるものが見つかったというのは自分としても収穫だったと思います」と語った。
さらに、プレス発表イベントでの出来事として「(小室とこだま総監督が)2人で握手をしながら言葉を交わしていたのが印象的でした」という若林プロデューサー。小室は「今年で一番、音楽家としてうれしかった」といい、こだま総監督は「どうしてもお礼を言いたくて、声をかけて『ありがとうございました』って言った」と明かした。
最後に小室は「音に耳を傾けつつ、全体もたっぷりと楽しんでください。またもう一回見ようと思います」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』は全国で公開中
配給:アニプレックス
©北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会