身近すぎるアプリから始まる恐怖を描く新感覚サスペンス・スリラー『マッチング』が台湾・高雄市で開催されている第22回高雄映画祭においてワールドプレミア上映され、内田英治監督が参加した。
恋人探し、婚活など、現代人に最も身近なツールとなったマッチングアプリ。気軽さも手伝ってその普及率は年々増加の一途をたどっている。しかし同時に、ユーザー間でのトラブルも多数報告されており、やって来た相手がプロフィールとは全くの別人だったり、さらに深刻な事件に発展するケースも。本作では、マッチングアプリを通じて他人と気軽に出会えるようになった現代だからこそ起こる“身近に潜む恐怖”を、追い詰められてゆく主人公とともにジェットコースターに乗ったかのようなスリルと、予測不可能なストーリー展開で描く。主人公・輪花役に土屋太鳳、輪花とアプリでマッチングする“狂気のストーカー”永山吐夢役として本作が初の実写映画単独出演となるSnow Man 佐久間大介、輪花を助けるマッチングアプリ運営会社のプログラマー・影山剛役に金子ノブアキを迎え、内田英治が監督・脚本を務める。
今回、台湾・高雄にて10月7日(土)から10月22日(日)まで開催中の第22回高雄映画祭にて、6年ぶりの高雄映画祭凱旋となった内田英治監督が、10月9日(月)に行われた本作『マッチング』公式上映後のティーチインイベントへ登壇。イベント前には10月7日(土)のオープニングセレモニー、10月8日(日)から9日(月)にかけて現地メディアへのインタビューに応じた。
10月7日(土)のオープニングセレモニーで高雄映画祭への印象や想いを問われた内田監督は「高雄映画祭には数十人しかお客さんが入らなかった頃から特集上映を組んでいただいて、バックアップしてきてもらえたことが今に繋がっている」と感謝を語り、2017年に参加した前回よりも規模が大きくなった同映画祭に対し、「コロナ禍を経て、世界中の映画祭もダメージを受けている中で、インディペンデントの新しい才能を発掘し続けているので、将来的には、台北の金馬映画祭と同じぐらいの大きさになると思う。何より関わっている人が皆あたたかい」と映画祭に対する期待感と愛着を語った。
9日(月)に行われた現地メディア向けのインタビューと上映後に行われたティーチインでは、チケットが発売直後に完売するなど、台湾での注目度の高さがうかがえる質問が飛び交った。本作を企画するに至ったきっかけを問われた内田監督は「アイデアは5年前くらいからあったけれど、このようなメジャーな題材を扱ったことはこれまではなかったし、自分っぽくないかとも思っていたところ、サスペンス・スリラーを撮りたい気持ちが湧いてきたタイミングと、マッチングアプリ自体が世の中に浸透してきたタイミングが重なって、今やるべきだと思い、企画が進み始めました」と語りながらも、「マッチングアプリの仕組み自体は至ってシンプルなので、そこからサスペンスに展開させていくストーリーをつくるのは大変で、体験者の取材をして膨らませていった」とオリジナルで制作するがゆえの苦労もあったという。
キャラクターやキャストへの質問にも及ぶと、主演の土屋太鳳が演じる輪花に関しては「主人公の輪花の、ウェディングプランナーという幸せを提供する側にいながら、プライベートでは出会いがないという設定は取材の中で生まれました。それでいて物語の過程で一人の人間として強くなっていくキャラクターだったので、女性にとっての強さとは何かというのを土屋さんとディスカッションしながら創り上げていった」と語り、佐久間大介がストーカーの吐夢役に抜擢に至った理由としては「ムードメーカーのイメージの強い彼がストーカー役というのは想像がつかなかったけど、初めて会った時に目の怖さと、俳優としてイメージがついてなかったこと、なにより自分よりも吐夢の細かいところまでを考えて熱心に向き合ってくれたので、信頼してオファーしました」と語り、キャストと共にキャラクターを創り上げていったことへの手応えを覗かせた。
また、本作を世界最速で鑑賞した観客の熱狂的な反応には内田監督自身も驚いたようで、早くも続編を期待する観客と映画祭の後押しもあり、「今日会場にいるみなさんは世界で一番早く本作を観ていただいたわけですが、続編を撮るためには台湾と日本も含めて大ヒットしないといけないので、応援よろしくお願いします。続編でまた高尾に帰ってきます」と続編制作への意欲を語り、イベントを締めくくった。
『マッチング』は2024年2月より全国で公開
監督:内田英治
出演:土屋太鳳
佐久間大介(Snow Man)、金子ノブアキ
真飛聖、後藤剛範、片山萌美、片岡礼子
杉本哲太、斉藤由貴
配給:KADOKAWA
©2024『マッチング』製作委員会