『キリエのうた』の公開記念舞台挨拶が10月14日(土)に新宿バルト9で行われ、アイナ・ジ・エンド、松村北斗、広瀬すず、岩井俊二監督が登壇、MCを本作に出演する笠原秀幸が担当した。
岩井俊二監督最新作の主人公は、路上のミュージシャン。主演は6月に惜しまれながらも解散した、楽器を持たないパンクバンド「BiSH」のメンバーで、現在はソロとして活動中のアイナ・ジ・エンド。松村北斗、黒木華、広瀬すずらがメインキャストとして出演する。壮絶な運命と無二の歌声を宿したキリエの音楽がつなぐ13年に及ぶ壮大な愛の物語。降りかかる苦難に翻弄される男女4人の人生が、切なくもドラマティックに交錯していく―。
前日の13日(金)に初日を迎えた本作だが、公開初日に劇場で鑑賞したというアイナは「パンフレットを見ているスーツのお兄さんが『このシーンよかったな』と言って購入されている姿を見ながら、“ここにキリエいるよ”と思いながら自分も買って」と笑いを誘った。既に反響を目にしているという松村は「見た人それぞれにグラフ的な五角形が違って。だからこそ誰かとしゃべりたくなったり、もっと解釈して見たくなる映画になったと思う」と感じているといい、広瀬は「自分だけが真横で聞いていた声が世界中に届き始めているという、すごいことだなと。みなさんにグサグサと、お腹の底に落ちてくるような魂の叫びみたいな表現はみなさんに届くんじゃないかな」と印象を語った。
先日には、韓国・釜山で開催された第28回釜山国際映画祭に参加したアイナ、松村、広瀬、岩井監督の4人だが、「一番驚いたことは岩井さんがモテてた」というアイナは、レッドカーペットイベントでの出来事として「赤い床を歩いた先に、『写真撮ってください』って海外の俳優の方に誘われていたり。終わった後も、2ショットを撮っていたり」というと「ファン・ビンビンさんと(写真を撮った)」と明かす岩井監督。また、松村は「歌声の説得力がすごかったようで、“キリエのうた”が特に刺さっていると強く感じました。歌声が国を超えて繋がった感じがしました」と感じたという松村は「反応の大きさは、“キリエのうた”がこの映画のど真ん中にいると改めて確認できた」という。「映画愛にあふれている方が多くてするどい質問が多かった」という広瀬は「忘れられない景色だなと思う時間でした」と語った。岩井監督も「笑顔で迎え入れてくださって、ファンのみなさんがスマホとか
本作を鑑賞した感想については「劇場がみんなの逃げ場になったらいいなと思いました」というアイナは「いろいろな方がいていいと思うんですけど、みんなの1日のお疲れの場所になったらいいかなと思いました。キリエが待ってるよ、歌ってるよと癒してあげたいという気持ちになりました」という。広瀬は「自分が出ていないシーンで物語が何個もある。そこに衝撃的なみなさんのお芝居であったり撮り方であったり、ズドーンと受けた」と語り、さらに「(自身が演じた)イッコとして罪悪感がうまれてしまい、長文の謝罪メールをアイナちゃんに送りました」と明かし、これにアイナは「『私がいないシーンでこんなに大変なことがあったんだね、ごめんね』って。いい人だなと」とやり取りを明かし、会場を沸かせた。
イベントの終盤では、岩井監督からキャスト3人への思いが語られ、広瀬には「大変な撮影だったと思うんですけど、独創的なインスピレーションで作り上げてくれた、広瀬すずの作品だった」といい、松村については「(初対面で)なんて美しい人なんだと」と感じたという岩井監督は「的確にその時の瞬間を演じてくれていて、潮見夏彦という役は松村北斗が作り上げた」と称賛した。また、アイナについては「すごい才能の方だなと。現代の才気あふれるアーティストと仕事ができると、その一点において心の中は大はしゃぎだった」と語った。さらに、岩井監督から、アイナ、松村、広瀬にサプライズで青いバラの花束のプレゼントされた。
最後にアイナは「この映画の中でみんな一生懸命生きてるんだな、明日も寝て起きてごみ捨てて、ご飯を食べて、同じかもしれないけど、また生きてみようかなと思ってもらえたらうれしいです。無理して上を見なくてもいいと思うんですけど、暗がりばかり見なくていいんだと思ってもらえたら」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『キリエのうた』は2023年10月13日(金)より公開
原作・脚本・監督:岩井俊二
出演:アイナ・ジ・エンド、松村北斗、黒木華/広瀬すず
村上虹郎、松浦祐也、笠原秀幸、粗品(霜降り明星)、矢山花、七尾旅人、ロバート キャンベル、大塚愛、安藤裕子、鈴木慶一、水越けいこ
江口洋介、吉瀬美智子、樋口真嗣、奥菜恵、浅田美代子、石井竜也、豊原功補、松本まりか、北村有起哉
配給:東映
©2023 Kyrie Film Band