中井友望主演映画『サーチライト-遊星散歩-』の公開記念舞台挨拶が10月14日(土)に新宿K's cinemaで行われ、中井友望、安藤聖、合田口洸、平波亘監督が登壇した。
平波亘監督最新作にして、中井友望が初主演を務める本作。一見普通の女子高生だが、病を患った母との苦しい生活を余儀なくされている果歩。同級生の輝之たちの心配をよそに、やがて果歩は「JK散歩」の世界に足を踏み入れていく。そんな彼らが暮らす街の空をサーチライトが照らす。それは先行きの見えない世界に生きる若者たちの道筋を示す光なのか、それとも…。主人公・果歩を演じるのは、ミスiD2019でグランプリを受賞し、『少女は卒業しない』、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』、『炎上する君』と続々と出演作が公開されている中井友望。初の単独主演作となる本作で、透明感のある存在感と類まれな表現力で10代の危うさを見事に演じた。輝之役には山脇辰哉。母・貴子役に安藤聖。そして果歩を「JK散歩」の世界へ誘う花先輩役に都丸紗也華。果歩と“お散歩”するサラリーマン・長谷川役を個性派の山中崇のほか、西本まりん、詩野、水間ロン、安楽涼など、個性溢れる面々が物語を彩る。
本作で貧困に陥った女子高生・果歩を演じて映画初主演を果たした中井友望は「本日はご来場いただき有難うございます。もう1回、2回、いや3回と何度でも見たいと思ってもらえるようなトークをできるように頑張りますので、楽しんでもらえればうれしいです。ハードル上げましたね(笑)」と、初主演ながらもジョークを交えて挨拶。若年性認知症を発症したヒロインの母親役を演じた安藤聖は「この作品が1人でも多くの方も心に響く作品になればいいなと思っております」と挨拶した。
安藤との親子役での共演について「撮影現場ではあまりお話する時間がなくて、すごくなんかお互い緊張しましたね」と振り返る中井だが、安藤は「私のシーンは3日くらいで撮影が終わったんですが、私は途中から撮影に参加して、その時点でもう立ち姿などから、遠くから見ていても主人公の果歩がいるじゃないかと思うくらい中井さんが果歩になっていたんです。シーン的に私が投げるセリフの方が多いですよね。その投げかけを果歩ちゃんが受け取るっていう芝居だったんですが、それも全てちゃんと中井さんが受け止めてくれて、なんだかとても頼もしい存在でした」と絶賛した。女優として頼もしい存在感を見せる中井だが「劇中で12歳の設定で写真を撮るシーンがあった際には、ちゃんと12歳らしくキャキャっと騒いでくれていて可愛かったです」という中井のエピソードも披露された。
平波監督は「僕が本作の監督に決まったタイミングで、すでに中井さんが主演に決まっていたので、“中井さんってどんな俳優さんなんだろう”という興味はありました。そして1回お会いして、なるほどなあと凄く思ったんです。先程、安藤さんも言われたように『果歩だ』と思った。それは中井さんが普段から果歩っぽいという訳ではないのですが、不思議と凄く説得力があった。佇まいなどが印象的な方なので、一言二言しゃべっても『これはもう大丈夫だなって』と割と僕なんか安心しました。そして役についてのディスカッションを重ねたりとかそういうことはせず、割と立場に関しても、現場でちょっと軌道修正するとか、微調整するぐらいの感じで撮影出来たので、僕としては凄くやりやすかったですね」と中井の存在感とヒロイン・果歩がリンクしたエピソードなどを語った。
また、母親役を演じた安藤については「キャスティングの時に、『お母さん役どうしようか?』と話になり、僕が安藤さんにお願いしたいと提案したんです。母親役にちょっと若すぎないかという説もあったんですけど、ヒロインの果歩と一緒にいる時はもちろん親子なんですけど、姉妹のような親子とか関係性では見えたらいいなと思ていたので、安藤さんなら大丈夫だろうと思ったんです」と、強い信頼感を感じさせた。
今回、劇伴・主題歌・エンディングと音楽周りの全てを担当した合田口は「今まで自分が歌う言葉っていうところに、1つも嘘がないように“本当のこと”を歌おうと決めていて、そこに込めた思いが3つほど大きくありまして。一つは自分が自分のことをしっかり愛するということ。自分の人生っていうものは、他の誰にも代わりが効かない。各々が1人1人オリジナルの人生を生きていると僕は思っているので、その人生をどうか愛してあげられるようにという祈りを込めています。2つ目は、深い悲しみだったり、苦しみだったり、そういう絶望に苛まれてしまって、目の前が真っ暗になって、本当に何も見えなくなった時に死を選んでしまうという人もいるかもしれませんが、“大丈夫だよ”と伝えたい。ちゃんと大丈夫になるから、どうかは生きて生き延びてほしいという願いを込めています。最後の1つは、すごく個人的な思いなのですが、僕は今でもあなたを愛しています。という愛をこめました」と、本作の音楽に込めた思いを語った。
また、本作は主人公の果歩は、未来が見えない中で必死に家族を守ろうと奔走する話にちなんで、「これだけは譲れない大切なもの」を聞かれると、監督と中井は“映画”、安藤は“家族”と答えた。
【提供写真・オフィシャルレポート】
『サーチライト-遊星散歩-』は全国で公開中
監督:平波亘
出演:中井友望、山脇辰哉、合田口洸、都丸紗也華、西本まりん、詩野、安楽涼、水間ロン、大沢真一郎、橋野純平/安藤聖/山中崇
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2023 「サーチライト-遊星散歩-」製作委員会