ホアキン・フェニックス主演×リドリー・スコット監督『ナポレオン』の場面写真が解禁され、併せてリドリー・スコット監督のコメントが到着した。

1789年、フランス革命――。神経質で冷淡でありながら、天才的な軍事戦略で皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に、何十万人の命を奪う幾多の戦争を仕掛けていく。冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を次々と勢力下に収めていくナポレオン。フランスを<守る>ための戦いが、いつしか侵略、そして<征服>へと向かっていく―。彼を駆り立てたものは、一体何だったのか?主人公ナポレオン役にはホアキン・フェニックス。2人のタッグは『グラディエーター』以来となる。ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ役にはヴァネッサ・カービー。監督はアカデミー賞作品賞受賞の『グラディエーター』や『オデッセイ』などを手がける巨匠リドリー・スコット。

今回解禁された場面写真はキャラクターにフォーカスしたもの。“英雄”のイメージから一変、悪魔の一面を覗かせるナポレオン役のホアキン・フェニックスの鋭い眼光が印象的だ。リドリー・スコット監督は『ナポレオン』の製作に取り掛かる直前に公開された『ジョーカー』(2019)でのフェニックスの演技に魅了された。「ナポレオンは戦場において怪物のような存在で、いかに人を欺き、荒廃させるかを知っています。無慈悲です。しかし彼のアキレス腱はジョゼフィーヌでした」と話す。

スコット監督は、ナポレオンが持つこのジョゼフィーヌに対する“執着心”を表現するのに最高の人物を知っていた。スコット監督が「これまで一緒に仕事をした中で最高の俳優の一人」と語る、ホアキン・フェニックスだ。「私はホアキンを見つめながら、“この小さな悪魔はナポレオン・ボナパルトそのものだ”と言いました。彼はナポレオンに似ています」と明かしている。

フェニックスは「リドリーとまた仕事がしたいという、とてもノスタルジックな思いがあった」と語る。彼はナポレオンに関する膨大な量の書籍を読み漁り、リサーチを進め、ナポレオンに近づこうとした。しかし、「ホアキンがやってきて、“どうしたらいいのか分からない”と言うのです。私は“なんだと!?”と答え、彼はもう一度“どうしたらいいのか分からない”、と。私たちは10日間、一日中座って、1つ1つのシーンについて話し合いました。ある意味、リハーサルを行ったのです。とにかく細部に渡って」と振り返るスコット監督。この結果、すでに台本は固まりつつあった頃だったが、台詞を大幅に削減しシーンが単純化され、視覚的な合図や身体的なジェスチャーが代わりに重要な役割を果たすようになったそうだ。

また、ヴァネッサ・カービー演じるナポレオンの“運命の女性”ジョゼフィーヌ。スコット監督は、彼女がアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『私というパズル』(2020)や、マーガレット王女を演じた人気シリーズ「ザ・クラウン」(2016~)で惚れ込んでいた。カービーは依頼されたその晩に脚本を読んでとても気に入り、準備期間として1か月を与えられた。書籍などからリサーチを進め、ジョゼフィーヌの領地であったマルメゾンで多くの時間を過ごし、墓にも訪れたという。カービーのジョゼフィーヌは魅惑的で、束縛できない女性。率直だが儚く、優美で、少し異質でもある。カービー曰く、ジョゼフィーヌがもつ多面的な女性像はとても魅力的だと感じながらも、その複雑さゆえに役作りには苦労したそうだが、スコットは「すべてはヴァネッサの力量です。素晴らしい俳優です。情報を得るための努力、自分で行うリサーチ、それらが様々な形で現れています。私は驚かされるのが大好きです」と語る。

ナポレオンについてはたくさんの書籍や逸話が残されているものの、それらを見ていくと証言同士が互いに矛盾していることが多かったのだという。人間がいかに複雑な内面を抱えているか――ホアキン・フェニックスほどの名優でさえ役作りに悩み苦しんだ、ナポレオンが抱えていた“矛盾”。フェニックスのナポレオンは圧倒的なカリスマ性を持ちながらも、不器用で神経質で、まるで迷子の子どものような振る舞いも見せる。歴史に名を残す“英雄”でありながら、一方で“悪魔”と恐れられた男。様々な矛盾をはらんだ“人間・ナポレオン“の姿を、悩み抜いた末に鬼気迫る迫真の演技で魅せるフェニックス。観るものの心に迫る作品となっている。

『ナポレオン』は2023年12月1日(金)より全国で公開
監督:リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント