第36回東京国際映画祭 コンペティション部門出品作品『タタミ』はイスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から棄権を強要された女子柔道選手とコーチとの葛藤を描く。

10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第36回東京国際映画祭。コンペティション部門は、2023年1月以降に完成した長編映画を対象に、114の国と地域から応募された1,942本の中から、厳正な審査を経た15本の作品が期間中に上映される。

柔道のイラン代表選手である主人公レイラとコーチのマリアムは世界選手権大会に臨むが、イスラエル代表選手との試合を避けるため、イラン柔道協会と政府から試合の棄権を強要される。政府からの指示を聞き入れず、金メダルを取るために試合を続けるレイラ。しかし、どうしてもイスラエルとの試合を阻止したいイラン政府からの圧力は、彼女たちの家族の拘束や試合会場での直接的な脅迫など、次第にエスカレートしていく。

マリアムもまた、レイラのコーチである自分自身の立場と国からの圧力との間で葛藤する。スポーツの世界で本来あってはいけないはずの外部からの圧力に立ち向かう人々の姿と、イラン人女性目線でのイラン情勢の実態を描いた社会派作品である。臨場感溢れる柔道の白熱した試合シーンも見どころで、強く逞しい主人公の姿に胸を打たれる。

【文/編集部(E)】

第36回東京国際映画祭は2023年10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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