［第36回東京国際映画祭］『連続ドラマW OZU』舞台挨拶 前田敦子＆高良健吾、理想のハロウィーンの過ごし方は？

第36回東京国際映画祭 TIFFシリーズ部門出品作品『連続ドラマW OZU ～小津安二郎が描いた物語～』の舞台挨拶が10月31日（火）にTOHOシネマズ日比谷で行われ、前田敦子、高良健吾、松本優作監督が登壇した。

「小津調」と称される独特かつ唯一無二の映像世界で没後60年となる今もなお国内外問わず高い評価を受け続ける映画監督・小津安二郎。生誕から120年を迎えたことを記念し、若かりし頃に監督した初期サイレント映画群をオムニバスドラマ形式で現代リメイク。第3話でドラマリメイクするのは、90年前の1933年に公開された『非常線の女』。第3話でドラマリメイクするのは、90年前の1933年に公開された『非常線の女』。　監督を務めるのは松本優作。主演を務めるのは前田敦子。昼は歯科助手の仕事をする一方で、夜は恋人の拓実らと美人局など悪事を働く謎めいた女性・時子を演じる。その恋人で荒々しさと繊細さを合わせ持つ拓実役には高良健吾。挫折した元ボクサーという役柄に挑む高良のボクシングシーンも必見だ。

時子（前田敦子）は昼に歯科助手の仕事をする一方で、恋人で元ボクサーの拓実（高良健吾）らと美人局など悪事を働く日々を送っていた。ある日、拓実は仲間のユウキの姉・彩（片山友希）に弟を巻き込まないで欲しいと頼まれる。その願いを一蹴するが、凛とした彼女の姿を目にして惹かれていく。そんな拓実の異変を知った時子は不安を抱き、彩に接触するが…。　

小津安二郎の作品をリメイクするにあたって「最初に話をいただいたときに、正直「自分でいいのだろうか』と思いました。かなり迷っていたんですけど、『非常線の女』を調べていると、当時の小津監督と同い年だったということもあってご縁なのかなと思ったのと、リメイクをさせていただくのは一生にないチャンスかもしれない」という思いから本作に参加したと話す松本監督。

その中では「90年前の作品なので、設定も大幅に変えなければいけないのは難しいと思った」と話す一方で「オリジナルで描かれているテーマ性は普遍的なもの」と感じたと言い、「もがき苦しむ姿は今も通じるテーマがある」とリメイク作品を作り上げたという。

主演を務めた前田は「現実世界ではなかなかない設定だったので、私も自分が受けて大丈夫なのかと不安から入った」と振り返りつつ、「（松本）監督とご一緒してみたかったのが大きかった。これはくらいついていくしかないなと思って。濃密だったので、幸福度は高かったんですけど、（撮影は）ちょっと覚えてない（笑）」と笑いを誘った。高良も「7日間撮影がありましたけど僕もあまり記憶がなく。すごいタバコ吸ってたなと。あれは狙いだったので」と明かした。

その高良は本作で元ボクサーという役どころに「ボクシング経験者ということがあったので、プライベートでボクシングを3年間くらいやっていて、やっと仕事に活きたなと思いました」と明かした。

前田と高良は、本作での共演について「共演者のみなさんが高良さんにどんどん惚れていく姿を見ているんですけど、今回高良さんのかっこよさがピカイチの作品だった」と話す前田は「仲良くもさせていただいているので小っ恥ずかしい役でもあった」と照れ笑いを浮かべた。一方で高良は「なんかふざけられますよね。ふざけた話をできる、心を許せる女優です」という。2人の関係性について、松本監督は「短いシーンを見ているだけでも感じる」と称賛した。

この日がハロウィーンということにちなんで、“理想のハロウィーンの過ごし方”を聞かれると「静かに過ごせるハロウィーンが理想です（笑）」という前田へ「この間、子どものハロウィーンをやってきました。みんな仮装して、トリック・オア・トリートと言ってお菓子をもらっているのに一緒に並んで」と笑顔を見せた。また、「仮装したのは幼稚園の記憶しかなくて」という高良は「家でゆっくりが一番かな」と答えた。

最後に高良は「オリジナルを見ていただいて、リメイクを見ていただけると、今の時代を生きるぼくたちが何をしようとしたのかが伝わっておもしろいと思います。2つ楽しんでいただけると、より楽しんでいただけると思います」、前田は「オムニバスになっていて小津監督の作品をいろいろな方がリメイクされています。新たな作品に生まれ変わるってこういうことかと、どちらも見ておもしろいものになっています。これを機に小津監督の作品の世界に興味を持ってもらってたくさん見てもらうのも楽しいと思います」とメッセージを送った。

第36回東京国際映画祭は、10月23日（月）～11月1日（水）の10日間にわたってに日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催。期間中には219本が上映される。

【写真・文／編集部】