第36回東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門出品作品『年少日記』は、中学生教師のチェンが生徒と関わることにより、少年時代のトラウマや家族と向き合っていく物語。
10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区地区で開催される第36回東京国際映画祭。ワールド・フォーカス部門は、現在の世界の映画界の潮流を示す作品を上映する。
中学教師のチェンは教室で遺書らしきメモを見つけ、クラスに書いた生徒がいるのではないかと捜索する。生徒と向き合っていくうちに、自身の少年時代の記憶が蘇り、何年も閉まっていた日記を取り出し読み返した。そこには過去のトラウマや家族との悲しい記憶が綴られていた―。
香港のニック・チェク監督のデビュー作で、監督、脚本、編集を務めている。本作のテーマはとても重たい内容で受け止めることに精一杯になる。だが、ただ内容が重たい映画というわけではなく、物語の構成性がしっかりしている事で一つのフィクションとしても心に残る作品となっている。映画祭の劇場では素晴らしい子役の表現力に、大人たちは涙を流さずにはいられなかったようで、私を含め鼻を啜る音が止まなかった。子供が周りの大人に受ける影響の強さを実感し、善し悪し含めていま大人である私たちにも影響しているのだろう。
【文/片岡由布子】
第36回東京国際映画祭は2023年10月23日(月)~11月1日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催
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