本当の彼女を誰も知らない―杉咲花主演映画『市子』で主演を務めた市子役・杉咲花のインタビュー映像《前編》が解禁された。
本作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を受けて2度再演された⼈気の舞台を映画化。川辺市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる…。
今回、先日開催された釜山国際映画祭の期間中に撮影された主演・杉咲花のインタビュー映像が解禁された。コンペティション部門であるジソク部門に選出された釜山国際映画祭で、ワールドプレミアを迎えた本作。「この作品が、自分たちを釜山に連れてきてくれた」と感慨深げに語る杉咲は「自分が大きなスクリーンで拝見してきた素晴らしい作り手のみなさまが集まっていたり、以前映画でご一緒した宮沢りえさんと再会できたこともすごくうれしかったですし、本当にたまらない時間だったなと思います」と映画祭への参加を振り返る。その上で、本作は「自分たちのすぐ隣にいる人たちの話だと思っていて、物語の中だけの話ではない、実態のあるもの」であると語り、この映画が海外でどう受け取られるのか、興味と共に緊張を抱いていたという。
そんな釜山国際映画祭、続いて出品された東京国際映画祭を含め、公開に先駆け本作を鑑賞した人々からは、絶賛の声が続々と上がっている。杉咲の元にもその声は届いているようで「市子っていう人がまだ心の中にいるって言ってくださる方がいて。何かがその方の中に響いたんだなって思えてグッときたんですけど、身近な存在として観てくれたってことなのかなと思って嬉しかったですね」と話し、「市子の存在がその人の中に残るというのは、演じた自分としては“よかった”と一言で言えることではないんですけど、残っていてくれてホッとしますね」と、市子の存在が観客の心に深く刻みこまれたことに喜び、安堵している様子。
本映像では、杉咲自身も完成した作品を初めて観た際の気持ちを明かしており、「(恋人・長谷川を演じた)若葉さんはこんな表情をしていたんだとか自分が出ていないシーンの登場人物の方たちの表情を見ながら、市子をこんな風に眼差していてくれていたんだなと、その眼差しが多様だったのが印象的ですね」と、劇中同じ出演シーンがなかった登場人物たちがそれぞれ抱く市子像やその表情に心動かされたことを語った。
また、杉咲は「普段お芝居をしていると演じ手の視点としてこういうシーンになったらいいなとか、いい表現ができたらいいなみたいな俳優としての欲が出てきてしまうんですけど、実際にカメラの前に存在している市子はそんな風には思ってはいないはずだから、その欲をなるべく落としていきたいなっていう感覚はありながらもすごく難しいこと。でも、今回は隠したいって思えば思うほど、感情が出てきてしまう瞬間に出会ったりとか自分がどうなってしまうかわからない怖さが本番中にあったりして、そういうのは初めてだったので、市子がものすごく自分に近づいてきてくれたような感覚があって忘れられないと思いますね」と撮影時の気持ちを振り返り、あらためて杉咲花の本作に対する熱量を感じさせる内容となっている。
インタビュー映像
『市子』は2023年12月8日(金)よりテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開
監督:戸田彬弘
出演:杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 映画「市子」製作委員会