本当の彼女を誰も知らない―杉咲花主演映画『市子』の本編映像が解禁された。

本作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を受けて2度再演された⼈気の舞台を映画化。川辺市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる…。

今回解禁された本編映像は、主人公・市子(杉咲花)が恋人である長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日を映し出したワンシーン。長谷川の留守中、なにやら荷物をカバンに詰め込んでいる市子。目の前のテレビからは物騒なニュースが流れている。東大阪市・生駒山での遺体発見のニュース。「司法解剖の結果、死後8年以上経過しているとの…」報道を見ていた市子が同時に耳にしたのは、間もなく自宅に着きそうな、家に帰ってくる長谷川の原付バイクの音。市子はカバンに荷物を入れる手を止める。駐輪場から自室への階段を登る長谷川、市子は詰め込んだ荷物と共にベランダへと急ぐ。そして長谷川が玄関を開ける間一髪のタイミングで、市子は窓から飛び降り、全力疾走で駆けていく。

テレビがつけっぱなしの部屋を見渡し市子を探す長谷川は、開けっ放しになっている窓と不自然に置かれたカバンを見つけ、表情を曇らせる。映像の最後には、不穏な音楽と共に、不気味に照らされたトンネルの中を、市子が全速力で駆け抜ける、物語の発端となる重要な一幕が映し出されている。

市子を演じた杉咲は、芝居における個人の納得と、作品としてのバランスについて「絶対に主観的になってしまうから、客観性との距離感を計るのが難しかったです」と話す。その上で本作においては「戸田監督の中に迷いがなかったので、そこに対する信頼感はとてもありました」と、戸田監督と共に走り切ったことを明かす。

一方で戸田監督も「杉咲さんは一瞬一瞬を大事に演じられる方だな、という印象を受けました」と話し、「僕自身も、ロケーションやその日の天候、俳優さんのお芝居における1テイク目とアングルを変えた2回目のテイクと……すべて同じものはないと映画を撮る上では考えており、そういった意味での価値観みたいなものが似ていたので、すごくやりやすかったですね」と、杉咲との初タッグを振り返る。その上で、「杉咲花という女優さんについて触れますと──凄かったの一言でもありますが、誠実で愛情深く、丁寧に役を心で感じ取る魅力的な方でした」と改めて杉咲を絶賛している。

本編映像

『市子』は全国で公開中
監督:戸田彬弘
出演:杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 映画「市子」製作委員会