本当の彼女を誰も知らない―杉咲花主演映画『市子』のオフショットが解禁され、併せて撮影現場でのエピソードが到着した。
本作は、監督の戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台「川辺市⼦のために」が原作。観客から熱い支持を受けて2度再演された⼈気の舞台を映画化。川辺市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々から証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が次々と浮かび上がる…。
今月8日(金)に公開された本作だが、SNSでは多くのコメントが寄せられており、その中でもパンフレットに載っている「市子の“年表”」について、「市子の年表が物語の理解をさらに深めてくれる」「年表を読んで涙が止まらない」「年表を見てもう一度見たら違う人に見えた」「映画では描かれていない細かい設定まで書いてあって良すぎる」と、謎多き川辺市子にまつわる詳細な情報への反響が次々とあがっている。
この年表は、市子たち川辺家にまつわる壮絶な過去を時系列順に並べた貴重な資料。戸田彬弘監督が、本作において描かれていない細部までこだわって作りだした市子たちの人生そのものが垣間見える仕上がりで、これが実在するかのようなリアルな人物像を作り出したのだ。市子が抗えない運命に翻弄される要因ともなった社会問題について触れつつ、市子の母・なつみをはじめとした周囲の人物との因果関係が明らかになっていく鑑賞後必見の内容となっている。
年表に記載されているのは、市子を取り巻く環境で起きた重要な出来事やその当時の市子の実年齢などである。年表は、市子の生前の出来事から始まる。さらに、1994年、市子が7歳の時には「同い年の団地の友達であるさつきたちが小学生になる中、自分は小学校に入学できない」など衝撃の記述も。その他にも、高校生になった市子、アルバイトに励みながら夢を持ち始める市子など、その時代で置かれた状況や周囲で起きた出来事が記載されている。本編には描かれていない市子の人物像を知ることができる情報もあり、『市子』を鑑賞した人がもう一度観たくなるような情報が満載だ。
戸田監督は、原作である舞台の製作段階から、市子の生年である1987年からの年表を作っていたそうだ。そして今回の映画化に際して、さらに細やかかつ視野を広げたものにしたようで、「市子の半生はすごく複雑なので、映画から関わるスタッフやキャストのみなさんが背景や物語の構造を理解しやすいように、脚本の上村奈帆さんと“このシークエンスは人生でも大事なところだと思うので、今一度書き起こしていきましょう”と相談をして、サブテキストとして撮影とは別で大量のシーンを書き、それを役作りのガイドとして役立ててもらおうと考えていました。」と年表作成の背景を振り返った。この年表について、市子を演じた杉咲も「市子がどういう時間を過ごしてきたかは、戸田監督が年表を共有してくださったり、脚本では描かれていない余白の時間を文字で起こしてくださったりして、具体的に教えていただきました」と振り返っており、役作りにおいても非常に重要な役割を果たしたことを明かした。
また、第28回釜山国際映画祭や第36回東京国際映画祭に正式出品された本作だが、公開後国内外での評価がさらに高まっている。国内では、毎日映画コンクール女優主演賞への杉咲花のノミネートが発表、さらにスウェーデンで開催される北欧最大の国際映画祭、ヨーテボリ映画祭でのインターナショナル・コンペティション部門への出品が発表され、『市子』のヨーロッパプレミア上映も決定している。さらに来年2月、原作である舞台『川辺市子のために』の再演が決定。2018年以来の公演で、舞台版市子を演じ、映画化した本作では市子の幼馴染・さつきを演じた大浦千佳が再び主演を務める。
『市子』は全国で公開中
監督:戸田彬弘
出演:杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 映画「市子」製作委員会