ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』で主演を務める役所広司のインタビュー映像が解禁された。
数々の傑作を世に送り出し続けてきた名匠ヴィム・ヴェンダースが長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた本作。ヴィム・ヴェンダースが、日本の公共トイレのなかに small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡ぎ、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。さらに第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第43回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待されるなど、世界中の映画祭を席巻し続けている。さらにアカデミー賞国際長編映画賞日本代表に選出され、見事ショートリストに選出、ノミネート、そして受賞への期待が高まっている。
今回、主人公のトイレ清掃員・平山を演じ、カンヌ国際映画祭にて最優秀男優賞を受賞した役所広司のインタビュー映像が解禁された。撮影を終えほっとした表情で『PERFECT DAYS』について、平山について、そして絶賛された演技について率直に語った。「映画ってやっぱ自由な発想ですべきだなと思いますね」そう、リラックスした表情で語る役所は、映画に対して同じ展開ではなく、また同じ絵でもない「見たことがないものがみたい」と明かす。『PERFECT DAYS』はヴェンダースのこだわりが詰まった、フィクションでありながらドキュメンタリーのような作品で、役所にとっては今まで経験した作品とは異なる「同じ展開ではない」体験になったに違いない。
また、役所が演じた平山は前半にはほとんどセリフがなく、朝起きて身支度をし、仕事であるトイレへ清掃に向かう。そんなルーティンが淡々と描かれる。そんな展開に役所は「人生は誰も、何も説明的でもないし、伏線もない。何が起こるかわかんない」というところに惹きつけられるという。わかりやすい起承転結がない映画について「こういう映画は50年後、100年後に見られても、古くならない映画を目指してるんじゃないかなと思う」と語り、小津映画を例に出し、「何が面白いんだろうと思っていた」と明かすも、「自分が年取ってきたり、家族ができたりなんかそういうことによってなんか全然やっぱり深みがある映画だってことに初めてこう気がつくしもっと年取るともっと面白くなるかもしれない。やっぱできればそういう映画に出たいですよね。」と『PERFECT DAYS』もそうあってほしいとの願いを込めて語った。
「自分と平山は似ていない。」「演じるその人の気分を背負ってないと仕事ができない」「平山さん、どうするんだろうなとかっていうのはふっと考える」と、監督の“Who is Hirayama”というメモ(平山がなぜ今の生活に至ったか、その精神のプロセスが書かれている)を手がかりに、平山を演じきった役所。「あれだけこう同じ繰り返しを見せられても、やっぱりそこにはこう生きた人間がね、人間とか生きた植物が動いている映画っていうのは結構持つんだなって」そう語る横顔が、一瞬平山に重なってみえる、そんなインタビューとなった。
インタビュー映像
『PERFECT DAYS』は全国で公開中
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
配給:ビターズ・エンド
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