『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の製作発表記者会見が2月1日(木)に都内で行われ、望海風斗、平原綾香、井上芳雄、甲斐翔真が登壇した。
2023年6月24日に東京・帝国劇場で日本初演プレビュー公演の幕を開け、8月31日の千穐楽まで全85回の公演を走り抜けた『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。他に類を見ない非日常空間と、一度観たら忘れることのできない熱気溢れるステージが多くの観客の心を掴み、開幕早々にチケットはSOLD OUTとなった。あの熱い夏から1年、2024年公演は東京・帝国劇場に加え、大阪・梅田芸術劇場でも上演されることが決定している。
今回行われた会見には初演から続投となる、 ナイトクラブ ムーラン・ルージュの看板スター・サティーン役の望海風斗と平原綾香、作曲家志望の青年で、サティーンと出会い恋に落ちるクリスチャン役の井上芳雄と甲斐翔真が演じる役柄にちなんだカラーの衣装で登壇した。
初演から半年が経ち、「あまり記憶がない」という望海と平原。「夢だったんじゃないかと思うくらい非現実的な毎日だった」と振り返る望海は「夢の中に生きていた感覚」と語った。平原は「歌手デビュー20周年の年だったのでそれと『ムーラン・ルージュ』が重なっちゃったもんだからバタバタしていて」と振り、今回の再演については「お漬物で言ったらサティーン漬け。染み込ませてお贈りしたい」と独特な例えを披露し、井上からは「なんで漬物?気持ちは伝わりました」とツッコミが入り、笑いを誘った。
初演の後に「23年秋にパリでムーラン・ルージュを見てきました」という甲斐は「本場のものはナイト感がすごい。高揚感が、クリスチャンの気持ちがすごい分かったんです」と感慨深げな様子だった。そんな甲斐について、井上は「やっている時も楽しそうだった」と明かした。また、公演期間中には「舞台上ではキラキラ感を出そうとやっているけど、終わったら疲れた」と振り返る井上だが、「そう言いながらも本番が始まったらやる。すごいなと思いました」と望海、平原も「疲れ知らず」と称賛した。井上は「疲れていても始まるとテンションが上がっていく、作品の独特の魅力がある」と本作の魅力を語った。
主要キャラクターがWキャストの本作だが、「望海さんはみんなで肩を取り合って真ん中で一列になって“行こうぜ”という感じ。平原さんは、行った道にみんながついていってしまう、放っておけない感じ」と違いを語った甲斐。平原は「芳雄さんは何をしても話し合ったら許してくれる感じ。ヒートアップする場所が違う」と振り返り、望海は「受ける印象がちょっと違ったから、人が違ったら(心が)動くところが違うのかな」とキャストの組み合わせによって異なる魅力を持つ本作について語った。
そんな本作には「もともとの映画のファンの人たちがミュージカルを、さらなる大きな愛で愛してくれている。映画のほうがよかったと言われなくてよかった」と安堵の表情を浮かべる平原。初演上演時には劇場周辺にも装飾が行われたことで、望海は「出ている身だけどワクワクして」と明かした。
海外の公演も観ている4人だが、「バズ・ラーマンさんがいらっしゃったときに、『日本が一番泣ける』とおっしゃっていて、日本人の特徴なのかなと。ブロードウェイで観た時はギリギリまで笑いが起きた。日本語だと泣くセリフだろうなというところで爆笑して。日本ならではの『ムーラン・ルージュ』」という望海。井上は「欧米の方は元の曲をよく知っているから。(日本では)基本的にいい曲として楽しんでくれている」と曲への親しみの違いがあるのではないかと想像していた。
間もなく休館を迎える帝国劇場だが「初舞台の劇場ですし、初めて受けたオーディションも帝劇。ホーム感がすごい。帝劇でやらせてもらうのが通常と言ったら贅沢ですけど、なくなると言われて想像がつかない。今のところ考えないようにしている」と寂しげな様子の井上だが「とにかく僕たちは記憶をなくすくらい毎回公演を一生懸命やっていて、その積み重ねで今なので。新しい帝劇もできてくれるでしょうし、一生懸命やりたい。今年『ムーラン・ルージュ』で立てるのはうれしい」と思いを語った。
一方で「観る機会のほうが多かった。だいたい観に行くきっかけが芳雄さんが出ているからと」と話す望海だが「(自身が出演した)『ガイズ&ドールズ』も『ムーラン・ルージュ』も芳雄さんと。『ガイズ&ドールズ』のゲネプロの時に“これが帝劇の舞台に立つこと”とドキドキしていたときに、芳雄さんが『どう気持ちは?』と言ってくれた。帝劇でずっとやられている方は違うなと」と話し、実際に演じたうえでは「安心感があった。初めて立つし緊張もしたけど、感じる空気感があるなと帝国劇場に立って感じた。うれしかったですし、また『ムーラン・ルージュ』で立てるのはうれしい」と笑顔を見せた。
また、「帝劇コンサート(『ザ・ミュージカルコンサート』)にも出させていただいて、改めて歴史を知ることができた」という平原は「『ビューティフル』で初めて出させていただいたときもすごさが分かっていなかった。きっと歌手で言うと、やっと武道館に立ったとかそういうイメージなのかなと思っていて。私は帝劇のにおいが好きで。演劇スイッチが入るような気がして」というと、井上は「分かる。ワクワクするような落ち着くような」と共感していた。
甲斐は「『エリザベート』で初めて。観る場所だと思っていたので、重厚感もすごいですし、いろいろなドラマが生まれたと思ってた。いざ自分が立つときにマジックにかかったような、そもそもそこが夢のような感覚で。五感で帝劇を感じるのが記憶に残っていたので。新しくなった帝劇でどう歴史を作っていくかも大事なので、一人の俳優としてがんばっていきたい」と語った。
さらに再演に向けては「一番大きな違いは、本場に行けたのが体験として大きな収穫だったので、想像してやっていた去年と、自分がクリスチャンのようにパリに行ってムーラン・ルージュを実際に見たのはかなり違う。2023年は優に超えていきたい」と期待した甲斐。井上は「去年を超したいというのもありますし、去年もすごい盛り上がりで今年も盛り上がってくれると思う。この先も続いていく、何十年も再演が続くような作品になっていると思います。定着するかどうか、今年の再演にかかっていると思う。『やっぱすごいね、ムーラン・ルージュ』と思ってもらえるようにしたいのが今年の目標」と語った。
【提供写真、文/編集部】
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』
2024年6月20日~8月7日 東京・帝国劇場
9月14日~28日 大阪・梅田芸術劇場