『ブルーイマジン』の初日舞台挨拶が3月16日(土)に新宿K's cinemaで行われ、山口まゆ、川床明日香、北村優衣、新谷ゆづみ、松林麗監督が登壇した。
本作は、性暴力やDV、ハラスメント被害者のトラウマに寄り添い、救済するためのシェアハウス「ブルーイマジン」を舞台に、心に深い傷を負った女性たちの信念と連帯と葛藤のドラマを描いた青春群像劇。“黙ってちゃだめだ。声を届けられるなら、どんなかたちでも届けたい”そんな信念を胸に、これまで抑圧されてきた女性たちが共に連帯し、勇気をふりしぼって声をあげようと葛藤する物語が展開される。彼女たちの真摯な姿勢と誠実な心の叫びは、多くの人々の心を揺さぶり、やがて主人公たちは自分自身の本当の生き方や居場所を見つけ出していく。閉鎖的で偏狭な日本社会をシニカルに捉え、時にブラックユーモアも交えながら、傷みを抱えた女性たちが、かすかな希望と青く澄んだ一縷の光を取り戻していくまでの姿を、透明感あふれる鮮やかな映像美で描き出す。
公開初日を迎え「感慨深いとしか言いようがない」と話す松林監督は「救いや希望を感じ取っていただけたらうれしいです」と挨拶した。主演を務める山口は「台本をいただいてから、こういうことが実際に起こっていることが怖いなと感じて。同時に伝えていきたいと監督とお話させていただいた中で、どうやって前を向いていったらいいかと丁寧に、役を借りてみなさまにお伝えできたらいいなと思って」と振り返った。また「いろんな人の思いが詰まっていますけど、初日を迎えて緊張というか、誰かの心に届いてくれたらいいなという気持ちでいっぱい」と安堵の表情を浮かべた。
本作では「群像劇を撮りたいというのがあったし、いろんな視点を入れたかった」という松林監督は「いろんな視点を入れ込むことで、この問題だけではなく、広がるテーマになった」と語った。
気に入っているシーンについては「凛ちゃん(新谷)との橋のシーン」を挙げた山口は「今までずっと自分を責めていた乃愛だったけど、相手に対して気持ちをぶつけられるようになった乃愛にとっては大きな一歩のシーン」と語った。川床は「みんなでフィリピン料理を食べるシーン」を挙げ、「実際にフィリピン料理を作っていただいて、アドボという料理がおいしかった。長回しだったから、もしNGだったら食べ物がなくなっちゃうからちょっとちょっと(笑)」と工夫したというが、北村は「私めっちゃ食べちゃった(笑)」と笑いを誘った。
「明るみになっていることに関して、みなさんが努力して声を上げてきたということをイマジンしていただきたい」と話す松林監督は「考え続けていかなければいけないのかなと考えています」と語った。
最後に松林監督は「心の傷は誰もが持っていて、自己探求もあるし、映画を作ることで誰かのためになることが、みなさまとご一緒できたことで救われる気持ちです。ブルーイマジンの輪が広がっていただくことに意味があると思います」と語り、山口は「私は最近自分に優しくするにはどうしたらいいんだろうと考えていて。他人にやさしくできたら自分にも優しくなれるのかなと感じていて。自分がされて嫌なことはしない、それに限るのかなと。まずは自分を大事に、そして他人に優しくできる人間が増えてくれたらいいのかなと思います。勇気、踏み出す一歩を感じていただけたら」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『ブルーイマジン』は全国で公開中
監督:松林麗
出演:山口まゆ、川床明日香、北村優衣
新谷ゆづみ、松林うらら、イアナ・ベルナルデス、日高七海、林裕太、松浦祐也、カトウシンスケ
品田誠、仲野佳奈、武内おと、飯島珠奈、宮永梨愛、渡辺紘文、ステファニー・アリアン、細田善彦
配給:コバルトピクチャーズ
©Blue Imagine Film Partners