『水深ゼロメートルから』の完成披露上映会が4月18日(木)に池袋HUMAXシネマズで行われ、濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれ、三浦理奈、山下敦弘監督が登壇した。
第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した中田夢花の脚本による徳島市立高等学校の演劇を原作とした舞台が2021年に「劇」小劇場にて上演、そして山下敦弘監督を迎えて映画化された『水深ゼロメートルから』。スマッシュヒットを記録した映画『アルプススタンドのはしの方』と同様のプロジェクトから生まれた“高校演劇リブート企画”第二弾作品。高校二年生の夏休みに、水のないプールに特別補習のため呼び出された女子高生たちによる心の葛藤と解放の繊細な青春ストーリーを描く。メイク推奨一軍女子・ココロ役に濵尾咲綺、踊れなくなった女子・ミク役に仲吉玲亜、ふてくされ水泳部・チヅルに清田みくり、チヅルを見守る先輩・ユイ役に花岡すみれ。
2021年に上演された舞台版からの参加となった濱尾、仲吉、花岡の3人だが、「舞台と映画はお芝居の仕方も環境も全然違かったので、そこが難しさでもあり、おもしろかった部分でもある」という濱尾は舞台版・映画版ともに同役で出演したことに「貴重なことだし、おもしろかったし、楽しかった」と振り返った。花岡は「普段の仲のいい感じを舞台に持ち込んでいる感じだったのが、映画だと初めて会った人たちみたいなテンションを作るのが難しかった」という。
また、仲吉は「(舞台とは異なり、実際に)プールサイドでやって意外と距離があって声が聞こえなかったり、顔が見えなかったり。セリフの刺さり方が違かったり、性格は変わらないんですけど、見せ方とか喋る間とか動きが全然違かったので新鮮な気持ちでした」といい、濱尾は「同じ人が演じているけど別人とお芝居をしている感覚」と明かした。
一方で、映画から参加した清田と三浦。「すごい会話劇だなと最初に思って」という清田は、原作者・中田夢花が高校3年生の時に書いた原作について「脚本自体にも共感しやすい部分が多かったので、これはぜひやれたらうれしいとすぐに思いました」と振り返った。三浦も「水のないプールが舞台というのが、どんな感じなんだろうと。繰り広げられる感情のぶつけ合いがおもしろいと思いました」と印象を語った。
実際の撮影では「上が見えない。砂の反射だったり、プールサイドの白い壁だったり」と苦労もあったという仲吉だが「映画ではリアリティを求められていたので監督と話し合って、ミクらしさがより繊細になった」と舞台との違いを語った。また、花岡は「みんなが輪になって話し合っているのが表れている」と撮影現場でキャスト陣が話し合う様子があったといい、仲吉は「どのシーンもみんなで話し合って作り上げた」と明かした。
最後に濱尾は「見た人の心をゼロメートルから数メートルふわっと持ち上げて背中を押してくれる作品です。見るたびに感じる部分が変わったり、刺さってくるキャラクターやシーンが変わるので、何度でもたくさん見ていただけるとうれしい」、仲吉は「いろんなキャラクターの共感する部分が少しずつあって。心に刺さるセリフばかりで、後押ししてくれるセリフばかりなので、いろんな機会に何度も見返していただけたらうれしい」、清田は「人それぞれいろんな感想を持つと思うんですけど、感想を持つということ自体がこの映画のテーマというか、持った感想が自分らしさだと思うので、どんな感想でも抱いた気持ちを忘れずにいつか見返した時にどう思うかを考えながらいっぱい愛してほしいです」、花岡は「いま高校生の方とかこれから高校生になる方、昔の高校生時代を思い出したりとか、いろんな視点から見た感想に興味があります。どこかで教えていただけたらうれしいです」、三浦は「山下監督やスタッフのみなさん、キャストのみなさんが愛を込めて作った作品がたくさんの人に届いてくれたらうれしいです」、山下監督は「初めてに近いかもしれないですけど、自分の欲が入っていない映画を久々に作れた気がして。映画自体が主人公がいないのも大きいと思うんですけど、作った後も自分が清々しかったので、大きな映画ではないんですけど、いろんな人に届いてほしいと思います」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『水深ゼロメートルから』は2024年5月3日(金)より新宿シネマカリテほか全国で順次公開
監督:山下敦弘
出演:濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれ
三浦理奈/さとうほなみ
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©『水深ゼロメートルから』製作委員会